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前立腺特異抗原(prostate-specific antigen:PSA)は、良性肥大
症の前立腺組織から分離・精製された分子量33,000〜34,000、等電
点6.9の糖蛋白です。
ヒト前立腺組織のみに存在し、特に腺・導管の内腔上皮、前立腺分
泌物に局在することが免疫組織化学的に確認されています。
血中PSA値は前立腺癌患者で著明に増加し、また病勢をよく反映し
て変動することから、その診断、予後判定および経過観察の指標と
なります。前立腺癌は近年、増加の一途を辿り十数年後には現在の
2倍以上になる可能性があると予測されています。
手術後のモニタリング等では再発を早期に発見することが重要にな
るため、検出感度においてさらに低濃度のPSAを検出することが必
要になります。
「高感度PSA」は検出感度が0.003ng/mlであり、低濃度のPSAを検出
するのに優れているため、手術や化学療法、物理療法などの治療後
の微量のPSAの患部からの逸脱を測定することができます。
また、前立腺癌患者のCut-off値として10ng/mlという値が設けられ
ているため、良性疾患の鑑別から前立腺癌の早期発見、治療後のモ
ニタリングや再発の推測に有用であり、広い範囲での適用が可能で
す。
PSAの検査結果を評価するに当たっては基準値とCut-off値の使い分
けにも留意する必要があります。基準値の“4.00ng/ml以下”は健
常者群の95%信頼区間の上限値を意味します。高齢男子で血中PSA
を測定すると前立腺肥大症によっても高率に陽性となるため、基準
値を超えても直ちに癌と即断すべきではなく、前立腺肥大症と前立
腺癌とを測定値として比較した場合、後者でより高値となる傾向が
認められます。
米国ではTandem-R PSAキットによる測定値において4.1〜10.0ng/ml
を「軽度癌疑い」、10.0ng/ml以上を「高度癌疑い」とする臨床判
定基準が提唱されています。ここに挙げたCLEIA法は「Tandem-R PSA」
に近似した値を示すよう測定系を設定しており、本基準を採用することも
可能です。
※直腸内指診(DRE)直後には一過性にPSA高値を示す場合があるた
め、検体採取は避けた方がよい。
検査材料:血清
基準値:単位(ng/ml)4.00以下
測定方法:CLEIA
高値を示す病態
前立腺癌、前立腺肥大症、急性前立腺炎
低値を示す病態
低値側の臨床的意義は少ないが、前立腺癌で摘出術後に再上昇が
みられた場合は再発を疑う
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