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シアリルLex-i抗原(sialyl Lewis X-i antigen:SLX)は、1978年
SolterとKnowlesにより見出された胎児性抗原SSEA-1(stage-specific
embryonic antigen-1)の糖鎖末端にシアル酸の付加した高分子糖
蛋白で、福士ら(1985)の作製したモノクローナル抗体FH-6により
認識されます。
なお、同じ糖鎖抗原であってもCA19-9やその類似抗原が構造上T型
糖鎖に分類されるのに対して、SLXはU型糖鎖に属する抗原です。
すなわち、糖鎖の基幹部分はガラクトース(Gal)とN-アセチルグ
ルコサミン(GlcNAc)より構成されますが、T型糖鎖はGalβ1→
3GlcNAcβを、U型糖鎖はGalβ1→4GlcNAcβを繰り返し構造単位と
します。いわば1→4では直鎖状に糖鎖が伸びるのに対し、1→3では
斜めに伸びる形をとっています。個体発生においてはU型糖鎖の方
がより早期から存在するとされています。
こうした両者の違いは腫瘍マーカーとしての特性にも反映しており、
SLXは膵癌をはじめとする消化器系癌にも出現するものの、むしろ
肺癌や卵巣癌などの腺癌患者血清中に高頻度に増加する点が注目さ
れます。良性疾患における偽陽性率は低く、T型糖鎖抗原のように
Lewis血液型の影響を受けることもありません。
本抗原は癌細胞と血管内皮細胞の接着(ELAM-T)を媒介すること
から、癌細胞の血行性転移と関連しており、肺腺癌、卵巣癌、膵癌
および癌の転移能の評価や経過観察に有用です。
検査材料:血清
基準値:単位(U/ml)38.0以下
測定方法:IRMA(ビーズ固相法)
高値を示す病態
肺癌、卵巣癌、子宮癌、膵癌、肝細胞癌、胆道癌、大腸癌
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