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CA125(carbohydrate antigen 125)は、Bastら(1981)により卵巣漿液性嚢胞腺癌の腹水培養細胞を免疫原として作製されたモノクローナル抗体OC125によって認識される抗原です。胎児と成人の中皮およびミュラー氏管由来臓器や、成人の卵巣、子宮内膜、腹膜および胸膜に正常でも存在する糖鎖抗原です。
これら臓器・組織の癌ないし炎症性疾患では著明な産生増加が認められ、とりわけ漿液性卵巣癌に極めて高い陽性率を示すことが報告されています。また、その他の婦人科癌あるいは肝胆膵領域の癌にも一定の有用性が認められます。なお、ムチン性の卵巣癌ではCA54/61の測定が有用とされます。
こうした腫瘍マーカーとしての臨床応用に加えて、近年CA125は子宮内膜症の診断ならびに治療の側面からも評価されるようになりました。子宮内膜症でCA125が高い陽性率を示すことは早くから知られ、子宮筋腫との鑑別および子宮筋腫患者の手術適応決定の指標に応用が可能です。またDanazol療法による治療経過をよく反映することから、治療効果判定の指標としても有用と思われます。
性周期の影響を受け、月経中と妊婦(とくに初期)は高値となるので病歴聴取も重要です。
検査材料:血清
測定方法:CLIA
基準値:単位(U/ml)35.0以下
高値を示す病態
卵巣癌、子宮体部癌、肝細胞癌、胆道癌、膵癌、子宮内膜症、腹膜炎、胸膜炎
(月経中および妊婦も軽度上昇をみる)
※ Danazol療法
ダナゾール(Danazol)とは、女性ホルモンの卵胞刺激ホルモン(FSH)や黄体形成ホルモン(LH)、卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌を抑える薬です。主に子宮内膜症の治療に使われます。服用中は排卵がないので妊娠することはありません。
子宮内膜症は毎月の月経がその症状を悪化させてしまうため、ダナゾールを使い人為的に閉経した状態を作ります。これを偽閉経療法と呼んでいましたが、現在ではダナゾールよりも脳下垂体に直接作用させる「GnRHアゴニスト」というスプレー剤(スプレキュア、ナサニールなど)を使った治療法が主流になっています。
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