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proPSAはPSAの前駆体で、より前立腺癌に特異的な腫瘍マーカーとして注目されています。proPSAは、前立腺の腺腔内に分泌され、プロテアーゼであるhuman kallikrein 2(hK2)によって活性型のPSAへと変換されます。活性型PSAは、血中ではα1アンチキモトリプシンなどのプロテアーゼ阻害物質と結合し結合型PSAとして存在しますが、一部は腺腔内でプロテアーゼ活性が喪失し、非活性型PSAとなり、血中では遊離型PSAとして存在します。
proPSAは、正常な前立腺組織内にも存在し、高度前立腺上皮内腫瘍(HGPIN)の中にも多く存在します。癌組織ではhK2濃度の低下により活性型PSAへ変換が阻害される結果、proPSAが貯留する可能性があり、とりわけ[-2]proPSAが蓄積しやすいと考えられています。また、癌組織では微小血管浸潤により、proPSAの血中漏出が増加すると考えられているため、proPSAは癌特異的なマーカーとしてより有用だと考えられています。
前立腺疾患血中マーカーとして有用性の高いPSA は、検診・診断や治療指標として用いられていますが、前立腺癌鑑別において明確な指標になりえないとされています。PSA 4〜10ng/mL のグレイゾーンにおいて癌の可能性は平均25%であり、4人中3人が無駄な前立腺生検を実施したことになります。そのため前立腺癌診断効率を上昇させるためPSA を上回る新規マーカーが待ち望まれていました。
そこで注目されたのがPSA前駆体であり前立腺癌でより多く分泌されるproPSAです。ベックマンコールター社では、数種存在するproPSAの中でも、PSAよりも2アミノ酸配列の多い[-2]proPSA 測定キット(p2PSA)の開発に着手し完成しました。現在、国内外において試薬性能の研究検討を実施中です。
phi densityが0〜0.66では半年ごとのPSA値モニタリング、0.67以上では即時生検といったような指針が、将来の方向性として採用される可能性も示唆されています。
前立腺がんに罹患する危険予測因子として「PSA基礎値」があります。5年以内にPSAが異常値になる可能性は、PSA基礎値が0.0〜1.0ng/mLの人が1%、1.1〜2.0ng/mLで8%、2.1〜3.0ng/mLで30%、3.1〜4.0ng/mLで60%とされています。一般的にPSA2.0ng/mL以下は、数年中の前立腺がんへの進展リスクは低いとされていますが、2.0ng/mL以下でproPSA関連指標の前立腺がん罹患危険予測因子としての可能性を探索する研究の準備も進められており、今後、取りまとめた研究成果を発表される予定です。
※phi(prostate health indax)=[-2]proPSA/freePSA×√totalPSA
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