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たった1滴の血液から、13種類もの癌を早期に発見できる・・これまでの常識を覆す、画期的な検査方法がミクロRNA(miRNA)検査です。
すでに普及している癌の血液検査には、「腫瘍マーカー」がありますが、これは主に進行したがんの状態を調べるために使われ、早期がんの診断には向いていないといえます。また、近年話題の「アミノインデックス」も将来的に癌になりやすい可能性を示すものです。
対象となるのは日本人に多い13種類の癌。脳腫瘍、食道癌、胃癌、乳癌、肺癌、大腸癌、肝臓癌、胆道癌、膵臓癌、前立腺癌、卵巣癌、膀胱癌、肉腫です。5年後までに実用化することを目指していますが、なかでも乳癌は研究が進んでおり、他の癌に先駆けて、来年度にも医療機関に導入される見通しです。分析装置さえあれば、血液採取から1時間程度で結果が出すことが可能です。
miRNAの検査では、乳癌の場合、現段階で90%程度の精度で早期乳癌を発見できています。今後、研究を進めれば、さらに精度を高めることもできます。この新しい血液検査で陽性反応が出た場合も、確定診断には、CTやMRIなどによる画像診断、細胞を調べる生検が必要になります。
miRNAは、あらゆる細胞から分泌される物質で、人の体内には2500種類以上が存在します。正常細胞からも癌化した細胞からも分泌され、血液中に流れ出ます。これまでは何の機能も持たないと考えられていたのですが、機能があることが徐々に分かってきました。
癌細胞から分泌されるmiRNAは、癌細胞自身が体内で生き延びるための機能を持っています。miRNAが分泌されているということは、癌として今後成長していく可能性が高いと言えます。このmiRNAを分析すれば、体内に存在するがんの種類などを知ることができるというわけです。
ごく早期の癌でも、正確に発見できるようになるこの検査は、「膵臓癌」を早期発見できます。これまで早期発見が難しいとされていた膵臓癌。症状が出にくく「沈黙の臓器」とも言われる膵臓は、癌が発見されたときにはすでに周囲の臓器に転移しているケースが多く、悪性度も高く進行したステージIIIでの5年生存率は2.3%、ステージIVでは0.8%と非常に予後が悪く、見つかったときには「手遅れ」と言われてしまうことが多い癌です。難しい癌とはいえ、ステージIでの5年生存率は37.3%。もっと早期で発見できれば、助かる可能性は確実に高まるといえます。
このmiRNA検査は、最終的には癌の早期発見ではなく、癌の予防につなげることが目標とされています。癌に特有なmiRNAが、いつどのように変化するのかを調べられれば、癌にならないための予防薬、日常で使えるサプリのようなものを開発できるかもしれません。
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