ペントシジン 骨質マーカーとしての有用性

骨コラーゲン中のペントシジン量は、骨基質中のAGEs全体量と正の相関があることから、骨コラーゲン中のペントシジン測定はAGEs全体の変化をとらえています。

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ペントシジン 骨質マーカーとしての有用性

ペントシジンは、酸化ストレスや糖化ストレスの更新した腎機能低下や糖尿病において、種々の結合組織に増加する終末糖化産物(Advanced glycation end products:AGEs)です。従来糖尿病や腎不全など特殊な環境下においてのみ、その役割が注目されてきましたが、近年、骨強度を低下させる骨質劣化要因として新たな展開を見せています。尿中や血中のペントシジン濃度の上昇が、骨密度とは独立した骨折リスク因子となるとの研究報告が集積されています。

蛋白質の代表的な翻訳後修飾にメイラード反応があります。メイラード反応はライフスパンの長い蛋白質に時間依存的に生じる反応として知られています。蛋白質にメイラード反応が生じると、蛍光性・褐色化・分子間架橋などの物理化学的特性を有するAGEsが多数形成されます。AGEsは老化産物と考えられており、種々の組織において生理機能を低下させる要因として作用します。ペントシジンは、AGEs構造体の一つであり、コラーゲンの分子間を架橋する構造体として、加齢と共に蓄積し、骨を脆弱にすることや、骨芽細胞分化を抑制するなどの骨の生理機能に負の影響をもたらすことが報告されています。酸化ストレス亢進に基づくカルボニル化合物の産生亢進があれば、血糖値の上昇がなくてもペントシジンは増加します。
骨コラーゲン中のペントシジン量は、骨基質中のAGEs全体量と正の相関があることから、骨コラーゲン中のペントシジン測定はAGEs全体の変化をとらえています。さらに整形外科手術症例100例からの各組織あるいは体液中のペントシジン量の相関性の検証により、血中もしくは尿中ペントシジン測定は骨コラーゲンのペントシジン量を反映するサロゲートマーカーと考えることができます。
尿中のペントシジン測定は、非侵襲的な骨折予測マーカーとなることも明らかにされています。尿中ペントシジンの高値(クレアチニン補正で47.5pM/mgCr以上)は、骨密度や年齢、既存の骨折、腎機能(クレアチニンクリアランス)とは独立した骨折危険因子となります。

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