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T型コラーゲン架橋N-テロペプチド(NTx)は、骨基質の主要構成蛋白であるT型コラーゲンの分解産物です。骨組織において、T型コラーゲンの分子間は、両端のテロペプチド領域を中心に、ピリジノリンあるいはデオキシピリジノリンと呼ばれる物質を介し、安定な架橋構造を形成しています。
骨吸収が起こると、分解生成されるT型コラーゲンのペプチド断片には、N-末端側由来の産物であるNTxも含まれています。骨組織から血中に放出されたNTxは、最終的に尿中に排泄されます。すなわ
ちNTxは、骨吸収を反映して尿中に現れるコラーゲン分解産物と考えることができます。
ピリジノリンを介したT型コラーゲンの架橋構造は、成熟コラーゲン線維にのみ存在し、その量は骨基質量に相関すします。ゆえにNTxの血中濃度及び尿中排泄量の測定は、骨吸収状態の有用な指標
となります。実際、原発性副甲状腺機能亢進症など、骨吸収亢進をきたす種々の代謝性骨疾患では、血中及び尿中NTxが高値を示すことが知られています。たとえば骨粗鬆症に対し、いくつかの骨吸収
抑制剤が登場していますが、これらの効果判定は、投与前後の尿中NTx排泄量変化から推定することが可能です。薬剤で骨吸収が抑制されれば、それを反映し、尿中NTxは有意に低下します。他の骨吸
収マーカーよりもNTxは、こうした骨吸収抑制剤に対する反応性が鋭敏とされています。
悪性腫瘍の骨転移における尿中NTx排泄量は、別に設定されています。Cut-off値(100 nmol BCE/mmol Cr)は、診断特異性を重視し高めに設定されています。このため、骨転移例における陽性率は20〜30%程度に留まります。もし尿中NTx値が骨吸収亢進を意味する“55 nmol BCE/mmol Cr 以上”である場合には、骨転移の可能性を考慮して、1〜3カ月おきに再検査し、NTx値の変化を確認することが望ましいとされています。
検査材料:尿
疾患における指標
骨吸収亢進の指標 55以上(単位:nmol BCE/mmol Cr)
副甲状腺摘出術の適応 200以上(単位:nmol BCE/mmol Cr)
悪性腫瘍の骨転移の指標 100以上(単位:nmol BCE/mmol Cr)
※BCE:Bone Collagen Equivalents(骨コラーゲン相当量)
測定方法:EIA
高値を示す病態
癌の骨転移(肺癌、乳癌、前立腺癌)、原発性副甲状腺機能亢進
症、甲状腺機能亢進症、骨Paget病
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