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エストラジオール( estradiol:E2)は水酸基を2個もつエストロゲン(女性ホルモンの一種)です。主要なエストロゲンであるE1、E2、E3のなかで子宮内膜、子宮筋に対する生物学的活性が最も強いステロイドホルモンです。主として卵巣より分泌されLH・FSHの分泌刺激を受けています。
また、妊娠時には胎盤由来のエストロゲンとして大量に分泌され、エストロゲン産生腫瘍の存在下では高値となります。
体外受精−胚移植(IVF-ET:invitrofertilization-embryo transfer)においては、成熟卵の採取が妊娠成立への重要要因となります。排卵誘発剤の投与時期の決定には視床下部ー下垂体ー卵巣系の内分泌動態を迅速に把握することが不可欠です。
エストラジオール(E2)は、排卵誘発法における排卵成熟および採卵時期決定のモニタニングのひとつとして有用です。
また高度の卵巣刺激周期や排卵誘発剤投与日における血中プロゲステロン値が上昇している場合では、着床率が低いとの報告もあることから、E2の測定により卵胞刺激が過剰とならないようにコントロールし着床に至適なホルモン環境におくことが重要と考えられています。本検査は、卵胞の成熟・排卵に向けて刻々と変動しているE2を迅速に把握するのに有用です。
E2は以下のような負荷試験においても測定されます。
1)HMGテスト
妊娠可能年齢婦人において、卵巣を刺激し排卵を促すHMGを負荷し、血中E2レベルの変動で卵巣機能を診断します。LH-RHテストなどと組み合わせることによりさまざまな月経異常の原因究明に役立ちます。
2) DHA負荷テスト
妊婦において胎盤サルファターゼ欠損症等での異常妊娠が疑われる場合に行われます。DHASを負荷すると胎盤でE2に転換され正常妊婦では15〜30分後に血中E2レベルのピークを迎えます。胎盤機能が低下している場合はピークの遅延やレベルの低下が認められます。
さらに更年期症状とE2の値とは密接な関係があり、エストロゲン補充療法(HRT)のモニタリングに非常に重要です。
・検査材料:血清
・基準値:単位(pg/ml)
男性:20〜60 14以下
女性:
卵胞期 (前期 10〜 78 後期 31〜200 )
排卵期 103〜366
黄体期 (前期 14〜225 後期 251以下 )
閉経後 18以下
妊婦(前期 106〜5,880 中期 2,040〜19,400 後期 7,310〜46,400 )
・測定方法:RIA(チューブ固相法)
高値を示す病態
エストロゲン産生腫瘍、肝硬変(男子)、副腎皮質過形成症候群
低値を示す病態
卵巣機能低下症、胎盤機能不全
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