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新規糖尿病治療薬sodium glucose co-transpoter2(SGLT2)阻害薬はインスリン作用を介さずに腎尿細管を標的とした薬剤です。
健常人では、腎臓の糸球体で濾過された糖はほぼ全量が尿細管で再吸収されます。この尿糖を再吸収するメカニズムに大きく関わっているのがSGLT2で、Naと糖を同時に共輸送体であるSGLT2は、近位尿細管S1セグメントからの糖の再吸収に関与し、糖全体の90%の再吸収を担っています。残りはその先の近位尿細管S2、S3セグメントにおいてSGLT1が再吸収しています。血糖が高くなると、糖のすべては再吸収されずに尿糖として排泄されます。尿糖排泄閾値は健常人で160〜180mg/dLですが、糖尿病患者ではSGLT2の発現が多くなり、その閾値が高くなっているといわれています。SGLT2阻害薬は、SGLT2を介した糖の再吸収を抑制することで、糖の排泄を促進させ血糖を低下させるという機序の薬剤です。
・SGLT2阻害薬の効果
1)尿糖排泄を促進することで血糖値を低下させ、糖毒性を解除することによりインスリン分泌の改善やインスリン抵抗性改善も期待できる。
2)カロリー源である糖が排泄されることで体重が減少する。
3)糖新生が活性化するため、その基質として脂肪組織からの脂肪酸の動員が見込まれ脂肪組織も減少する。
4)中性脂肪の低下やHDLコレステロールの上昇も期待できる。
5)尿細管からの糖の再吸収を抑制するとともにNaの再吸収も抑制するため尿中のNa排泄増加による血圧低下も期待できる。
・SGLT2阻害薬の副作用
1)尿量が増加することによる脱水。
2)脂肪組織の分解によりケトン体が産生されるため、インスリン分泌が著明に低下しているやせ型の症例においては、ケトアシドーシスのリスクがある。
3)脂肪組織の少ないやせ型の症例では、栄養障害やサルコペニアを引き起こす可能性があるので配慮する。
4)その他、尿路・性器感染症、骨代謝への影響がある。
5)薬剤の種類によっては皮疹を呈することもある。
総合的に考えると現時点では、その作用機序から腎不全症例、また副作用から高齢でやせ型の症例には適さないといえます。
SGLT2阻害薬の作用機序はインスリン作用に依存しないため、インスリン枯渇例も含めた2型糖尿病のどのステージにおいても使用でき、またどの経口血糖降下薬とも併用ができる新しい可能性を秘めた薬剤です。しかし、予期せぬ副作用の可能性もあるため、最新の副作用情報に留意していく必要があります。
※サルコペニア(sarcopenia):進行性および全身性の骨格筋量および骨格筋力の低下を特徴とする症候群。筋肉量の低下を必須項目とし、筋力または身体能力の低下のいずれかが当てはまればサルコペニアと診断される。
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