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一般に血糖として測定されるのはブドウ糖(D-グルコース)です。血糖値は食事による摂取のほか肝臓で産生放出されるブドウ糖と、脳・筋肉・赤血球などの末梢組織での消費との間で動的な平衡状態を保っています。特に中枢神経系ではグルコースは唯一のエネルギー源であり健常人では血糖値がおよそ60〜140mg/dlの間に調節されています。
経口的にグルコースを投与すると4時間以内に約90%が門脈に入り、その5〜10%が肝を通過する際に吸収され、残りは大循環系に入ります。膵ランゲルハンス島β細胞より分泌されたインスリンは、筋肉、肝、脂肪細胞など組織へのグルコースの取り込みを促進して血糖値を下げ、また肝からグルコースの放出を抑制する働きを持ちます。このような調節機構が障害され、動的平衡状態のコントロールがきかなくなった場合に低血糖や高血糖が引き起こされます。
高血糖を引き起こす代表的疾患は糖尿病です。膵β細胞の破壊によるインスリンの絶対的欠乏に基づくインスリン依存性糖尿病(1型糖尿病、またはIDDM)と、さまざまな段階のインスリン抵抗性または分泌不足に基づくインスリン非依存性糖尿病(2型糖尿病、NIDDM)、さらにインスリン受容体などの遺伝子異常で起こる糖尿病と、妊娠糖尿病の4型に分類されます。この他にも甲状腺機能亢進症、クッシング症候群などの内分泌疾患をはじめ、多くの病態で耐糖能の異常が認められます。
一方、血糖値が60mg/dl以下の場合を低血糖状態といい、インスリンの過剰投与による外因性低血糖、インスリン産生腫瘍(インスリノーマ)によるものや、空腹時低血糖、反応性低血糖などに大別されます。低血糖では異常な空腹感や冷汗がみられ、血糖値30mg/dl以下で傾眠傾向、20mg/dl以下では痙攣、昏睡を来たすとされています。
ブドウ糖は採血後、そのまま室温に放置すると血球にある解糖系酵素により代謝され低値になります。このため必ず解糖系を阻止し、血液凝固を抑える目的でフッ化ナトリウム入り試験管で採血を行います。
また血糖値は動脈血、毛細管血、静脈血の順に高く、およそ10〜20mg/dlほどの差が認められ糖負荷試験でその差は拡大します。また全血の血糖値は血漿や血清での値を下回りますが、これは赤血球中に占める水分の比率が少ない分だけグルコースの割合が減るためです。
検査材料:NaF加血液
検査方法:酵素法
基準値:単位(mg/dl)70〜109
・低値を示す病態
アジソン病、インスリノーマ、胃癌、下垂体機能低、下症、肝疾患、甲状腺機能低下症、高インスリン血症、小児特発性低血症、食事性・機能的反応性低血糖、腎性糖尿、繊維腫及び肉腫、中枢神経疾患、脳下垂体不全症、副腎皮質機能低下症
・高値を示す病態
クッシング症候群、サイアザイド系降下症、悪性高血圧症、火傷、外傷、巨人症、狭心症、甲状腺機能亢進症、骨折、手術、情緒的ストレス、心筋梗塞、代謝性疾患、中枢神経系疾患、糖尿病、内分泌性疾患、妊娠、脳腫瘍クモ膜下出血、副腎髄質腫瘍、末端肥大症、膵疾患
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