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インスリン抵抗性は、健康な人と比べて糖尿病の人では、同じ量のインスリンを注射しても糖尿病の人のほうが下がりにくく、また軽症糖尿病と重症糖尿病ではやはり重症のほうが血糖値が下がりにくいことから、インスリンが効きにくい状態で、糖尿病の本態のひとつであると捉えられています。
インスリン抵抗性指数・HOMA-IR(Homeostasis model assessment-Insulin Resistance)は、その基礎となるインスリン抵抗性の有無を簡便に調べるために考え出された指標の1つで
空腹時インスリン値(μU/ml)×空腹時血糖値(mg/dl)÷405
という計算式で求めることができます。一般的には空腹時血糖値で130〜140mg/dl程度までであればHOMA-IRをインスリン抵抗性の指標としてよいとされています。
インスリン抵抗性を正確に調べるには、正常血糖・高インスリン血症法(グルコースクランプ法)と呼ばれる検査法が使われています。この方法は被験者の両腕静脈から血液回路を確保し、一方からは空腹時濃度の10倍くらい(100μU/ml程度)のインスリンを持続静注し、もう一方からはブドウ糖を静注します。この検査法で正常血糖値を保つためには、インスリンが効きやすい人、つまりインスリン感受性が良い人ほど、多くのブドウ糖注入を必要とするので、ブドウ糖投与量の多寡がインスリン抵抗性の強弱を示すことになります。
しかし、この方法は被験者を数時間拘束することになる上、手技的にも煩雑です。そこでイギリスのTumerらは、グルコースクランプ法で測定したインスリン抵抗性の値と相関するような測定項目はないものかと検査し、空腹時血糖値と空腹時インスリン値の積が最も良好な相関を示す事がわかりました。さらに空腹時血糖値が正常の場合に値が1になるように計算式を求め、上記のような式が得られました、したがってHOMA-IRの正常値は1ということになります。
約200例の境界型糖尿病患者をHOMA-IR値別に5群に分け、その後の糖尿病発症頻度を検討したところHOMA-IR平均値が1.92の第4群で、それ以下の3群の約2倍の発症率を示しました。これによりHOMA-IR値2以上を日本人でのインスリン抵抗性有りとし、4以上を強いインスリン抵抗性有りとしています。また、動脈硬化危険因子の数とHONA-IRの値の間にも相関がみられ、HOMA-IRは、将来の動脈硬化性疾患の予測因子であるとともに、HOMA-IRが改善するような生活指導をしていけば、将来の動脈硬化性疾患を防げる可能性があります。
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