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インクレチンは、食事摂取に伴って消化管から分泌され、膵β細胞に作用してインスリン分泌を促進するホルモンです。代表的なインクレチンとして、上部小腸のK細胞から分泌されるグルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(glucose-dependent insulinotropic polypeptide:GIP)と、小腸下部のL細胞から分泌されるグルカゴン様ペプチド-1(glucagon-like peptide-1:GLP-1)が知られています。
GLP-1とGIPは、食後、血糖依存的にインスリン分泌を促進して血糖の濃度を調節する作用を持っています。この作用は、低血糖のリスクが少ないという利点から、2型糖尿病の新しい療法であるインクレチン関連薬に応用されてきました。
近年、インクレチンが血糖依存的に血糖値をコントロールする作用(血糖値を下げすぎない作用機序)に注目が集まっており、インクレチンを分解するジペプチジルペプチダーゼ-4(Dipeptidyl Peptidase-4:DPP-4)を阻害する薬剤などが開発され、既存のいずれの血糖降下薬の作用機序とも異なる新しいアプローチで2型糖尿病患者における高血糖を改善できるのではないかと期待されています。
活性型GIPの抽出法および非抽出法の測定方法。
・活性型GIP(抽出法)前処理 固相抽出:ELISA
・活性型GIP(非抽出法):ELISA
検査材料:血漿
あらかじめ冷却した指定の容器(EDTA-2Na+アプロチニン入り)に採血し、30秒以内にDPP-4 inhibitor(血液1.0mLに対し10μL)を加え、混和後速やかに冷却遠心し、血漿分離してただちに凍結保存。
インクレチンの役割とは
血糖値のコントロールに直接かかわるホルモンとしてインスリンとグルカゴンがあります。さらに、これらのホルモンに作用するインクレチンも血糖値のコントロールに間接的にかかわっています。
食後の血糖値が高い状態では、インクレチンが腸管(主に小腸)から分泌され血液中のインクレチンの濃度が上昇し、膵臓のβ細胞を刺激することによってインスリンの分泌が促進され、血糖値が低下します。また、腸管(主に小腸)から分泌されたインクレチンには、膵臓のα細胞にも作用し、グルカゴンの分泌を抑制することによって血糖値を低下させるものもあります。しかし、インクレチンは分解酵素であるDPP-4によって分解され血中半減期は非常に短いことが知られています。
現在、知られているインクレチンは、GLP-1とGIPの2種類です。GLP-1は主に小腸の下部から分泌され、膵臓のβ細胞からのインスリンの分泌を促進するとともに、α細胞からのグルカゴンの分泌を抑制します。GLP-1は膵臓以外に胃や中枢神経系にも働きます。胃では腸へ食べ物が送られるのを抑制し、食後の血糖値を低下させ、食後に高血糖になるのを防ぎます。さらに、中枢神経系では食欲を抑制することによって体重の増加を抑制します。
一方、GIPは主に小腸の上部から分泌され、GLP-1と同じように膵臓に作用しますが、インスリンの分泌を促進する働きはGLP-1の方が数倍強いとされています。GIPは、インクレチン効果以外に、脂肪やカルシウムの貯蔵などの多彩な膵外作用についても、さかんに研究が進められています。
▽GIP測定 インスリン分泌を促進する代表的なインクレチン のキーワード
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