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下肢閉塞性動脈硬化症(peripheral arterial disease:PAD)は、下肢動脈硬化による血管の狭窄や閉塞が原因となり、下肢血流が低下する疾患をいいます。わが国においては閉塞性動脈硬化症(arteriosclerosis obliterans:ASO)と呼び、パージャー病などの閉塞性血栓性血管炎(thromboangiitis obliterans:TAO)と区別して表現されますが、世界的にはPADが一般的です。
PADの危険因子としては、高齢・高血圧・脂質異常症・喫煙などがあげられますが、糖尿病が最も強い影響を及ぼしています。より進行したPADの状態である重症下肢虚血(critical limb ischemia:CLI)では、6ヶ月以内にその30%が下肢切断を余儀なくされ、さらに20%が死に至ります。このようにPADは予後不良な疾患であり、早期発見・早期治療が必要な疾患です。
糖尿病では高率にPADを合併するため、糖尿病患者においてはPADの診断を行うことが重要となります。典型的な症状として、間欠性跛行(かんけつせいはこう)があげられます。間欠性跛行とは、安静時や歩行開始時には無症状ですが、ある距離を歩行すると下肢に疼痛が生じ、歩行の継続が困難となり、休息すると痛みが消失しまた歩行可能となる症状をいいます。ただしこの間欠性跛行の症状を呈するのは約10%程度で、50%がしびれなどの非典型的下肢痛を訴え、40%は下肢症状を呈しないともいわれています。
他に下肢末梢の冷感や、重症例では安静時疼痛、下肢の皮膚潰瘍をきたします。
PADの病期と症状を結びつけた、Fontain分類やRutherford分類が重症度の評価に用いられています。
Fontain分類
1度:無症状
2a度:軽度の跛行
2b度:中程度から重度の跛行
3度:虚血性安静時疼痛
4度:潰瘍・壊死
Rutherford分類
0度0群:無症状 循環動態からみても有意な閉塞性病変なし
0度1群:軽度跛行
1度2群:中等度跛行
1度3群:高度跛行
2度4群:虚血性安静時痛
3度5群:軽度組織消失 非治癒性潰瘍、後半足虚血を伴う限局性壊疽
3度6群:広範な組織喪失 TMよりも高位に拡大、もはや機能的足部リム・サルベージ不能
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