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E型肝炎ウイルス(Hepatitis E Virus:HEV)はカリシウイルス
科に属するRNAウイルスで、汚染された手や食物、飲料水等を介
した経口感染により伝播し、A型肝炎に類似した肝炎症状を起すこ
とが知られています。本症は一過性感染に終わり(慢性化すること
はない)、その肝炎症状も軽度にて推移することが多い。但し、劇
症肝炎への進展頻度は1〜2%とみられ、A型肝炎よりもやや高率
です。妊娠末期の感染ではしばしば重症化し、死亡率も20%に達
します。主な浸淫地域は東南アジアやアフリカなど、熱帯・亜熱帯
諸国です。
臨床経過としては、感染後2週〜2か月程度の潜伏期を経て発症に
至り、前後してIgMクラスの抗HEV抗体価の上昇が認められま
す。血中のHEV−RNAは発症の1〜2週前から出現し、発症後
次第に消退するものの、約1/4の症例では数か月にわたってウイルス
血症が持続するとの報告もあります。また、発症前後から3〜4週
にかけては糞便中へのHEV粒子の排泄が認められます。
HEVは発展途上国においては常在し、その感染・発症の多くは散
発的ですが、時に広範囲な流行を起こすとされてきました。我が国
での臨床診断例は未だ稀であるものの、感染宿主としてブタやニワ
トリなどの食用の家畜が挙げられることから、今後とも監視が必要
とされています。
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