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第一期:ダグラタスビル、アスナプレビル
2014年9月に、世界に先駆けてインターフェロン、リバビリンなしの薬剤、NS5A複製複合体阻害薬ダグラタスビルとNS3/4Aプロテアーゼ阻害薬アスナプレビルがわが国でのみ承認されました。経口剤による治療を開始するにあたって、耐性変異の有無を確認します。日本人の耐性変異検出率は、NS5A領域で11.2%(特にY93の人が多く8.2%)、NS3プロテアーゼ領域で4.9%となっています。また日本人の約15%はこの2つの薬剤に対して耐性を持っていることが明らかになっています。虎の門病院の症例では、850例に治療を行い、薬剤耐性がない人は約92%が治癒し、薬剤耐性がある人は約54%にとどまったとの報告がありまが、全体で約85%の人が治癒しているのは画期的なことです。わが国では1年間にこの薬剤が5万例に使用され、4万例近くが治癒したと推定されます。
第二期:ハーボニ―、ヴィキラックス
第二世代の治療薬として登場したのがハーボニー(ソホスブビル/レジパスビル)とヴィキラックス(オムビタスビル/パリタプレビル)です。第二世代の治療薬は治療期間が12週以下であること、95%以上治癒することが絶対条件でした。さらに、副作用、薬剤耐性、使用禁忌条件が少ない薬剤であることも求められました。現在、わが国で使用できるのは、ハーボニーとヴィキラックスの2剤です(ハーボニーは2015年9月、ヴィキラックスは2015年11月から使用可能)。
欧米では現在、ハーボニーが第1選択薬になっていますが、添付文書では腎障害のある人には使用禁忌となっており、他に循環器系の合併症にも注意が必要であることが知られています。
ハーボニ―は薬剤耐性の有無は問題になりませんが、ヴィキラックスではウイルス学的著効率は、薬剤耐性がない場合は99%、ある場合は83%と、約17%減少することが知られています。
また、副作用として浮腫がみられます。カルシウム拮抗剤との併用を避ければ他に重大な副作用はありません。
ハーボニ―とヴィキラックスを比較すると、薬剤耐性からみた治療効果としては、耐性がある場合はハーボニーの方が良好です。一方、合併症については、ハーボニーは腎障害がある場合には使用禁忌となっており、高齢者も腎障害のある人が多いため、ヴィキラックスを選択した方が良い。また、ハーボニーでは、欧米でアミオダロンとの併用により死亡例が多数出ており、循環器系疾患のある場合は使用に注意が必要です。ヴィキラックスではカルシウム拮抗剤の併用は禁忌です。
現在、新たな経口剤ダクラタスビル/アスナプレビル/バルクラブビル、エルバスビル/グラゾプレビルの2つの薬剤の治験が終了し、治療効果はそれぞれ97%であることがわかっています。この2剤が承認されれば、ハーボニー、ヴィキラックスに加えて、ほとんどの患者が経口剤のみで治る時代になります。
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