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B型肝炎の核酸アナログ薬治療において、同薬の中止によりdrug freeを目指すことは重要な治療目標の一つです。しかし、核酸アナログ薬の中止によりしばしば肝炎が再燃し、時に重症化することがあります。このため、中止にかんしてはその危険性に十分配慮する必要があります。
核酸アナログ薬治療はHBs抗原の陰性化を目標としますが、必ずしも容易ではありません。このため、HBs抗原が陰性化しなくても治療の中止を考慮する場合があります。このような状況下で核酸アナログ薬を中止し、最終的に非活動性キャリアの状態に落ち着くことを目標に作成された指針です。
重症化のリスクを予め想定し、これを回避するため以下を中止の必要条件としています。
1)核酸アナログ薬中止後には肝炎再燃が高頻度にみられ、時に重症化する危険性があることを主治医、患者共に十分理解している。
2)中止後の経過観察が可能であり、再燃しても適切な対処が可能である。(専門医が関与することが推奨される)
3)肝繊維化が軽度で肝予備能が良好であり、肝炎が再燃した場合でも重症化しにくい症例である。(肝硬変やこれに近い繊維化の進行した慢性肝炎の症例では中止すべきではない)
HBV増殖能の評価と再燃のリスクを低下させるための条件
1)核酸アナログ薬中止の必要条件
・中止時、血中HBV DNA(リアルタイムPCR法)が陰性
・中止時、血中HBe抗原が陰性
2)核酸アナログ薬治療期間の条件
・核酸アナログ薬投与開始後2年以上経過している。(核酸アナログ薬治療期間が短いと再燃しやすいため)
3)ウイルス抗原量のスコア化による再燃の危険性の評価
中止時HBs抗原量
1.9LogIU/ml未満(80IU/ml未満):スコア0
1.9〜2.9LogIU/ml(80~800IU/ml):スコア1
2.9LogIU/ml以上(800IU/ml以上):スコア2
中止時HBコア関連抗原量
3.0LogIU/ml未満 :スコア0
3.0〜4.0LogIU/ml :スコア1
4.0LogIU/ml以上 :スコア2
・低リスク群:総スコア0 予測中止成功率80〜90%
中止を考慮しても良い群。ただし、低リスク群でも肝炎再燃症例が存在するため、再燃に対する注意は必須。
・中リスク群:総スコア1〜2 予測中止成功率約50%
状況によって中止を考慮しても良い群。この群では、中止の条件や方法を今後さらに検討する必要がある。
・高リスク群:総スコア3〜4 予測中止成功率10〜20%
治療の継続が推奨される群。ただし、35歳みまんでは中止成功例が比較的高く30〜40%。
中止後の経過観察法と再治療開始の条件
1)核酸アナログ薬中止後は定期的にHBV DNA(リアルタイムPCR法)とALTを測定し、HBVの再増殖とこれに伴う肝炎再燃に注意を払う。
2)中止後の再燃は、中止直後から1年以内が多く、その後徐々に減少し、3年目以降はまれになります。このため、特に中止直後は再燃に対する注意が必要です。具体的には、中止後16週まで2週毎、その後は4週毎の血液検査による経過観察が望ましい。
3)中止が成功し、最終的に非活動性キャリア状態に落ち着く症例においても、約2/3では一過性のALTまたはHBV DNAの異常値が出現しても、軽度の上昇であれば再治療を行わずに経過をみることが可能です。ただし、以下の条件では最終的に非活動性キャリア状態に落ち着く可能性は低く、核酸アナログ薬による治療を考慮します。
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