スポンサードリンク
自己免疫性肝炎(Autoimmune hepatitis:AIH)は中年以降の
女性に好発し、肝細胞障害を主な病態とする慢性肝疾患で、血清中
AST(GOT)・ALT(GPT)の上昇・IgGの上昇が特徴
的です。また、抗核抗体(ANA)・抗平滑筋抗体(ASMA)・
肝腎ミクロゾーム(LKM)1型抗体など様々な自己抗体が血清中
に出現します。これらは、診断の指標として有用で出現する自己抗
体の種類に基づくAIHの分類もなされています。
臨床的特徴
約20%が無症状。有症状例では、倦怠感・黄疸・食欲不振・関節
痛・発熱・嘔気など。
症例の約1/3に慢性甲状腺炎・関節リウマチ・シェーグレン症候
群などの自己免疫性疾患との合併症がみられます。
関連自己抗体
・抗核抗体(ANA)
AIHで最も高頻度に検出されるが、SLEなどの他の自己免疫疾
患でも高率に検出される
・抗平滑筋抗体(ASMA)
通常SLEでは検出されないため、SLEに合併した肝障害と自己
免疫性肝炎の鑑別に有用(ウィルス性慢性肝炎でも検出されます)
・抗LKM−1抗体:U型AIHに特異的。U型AIHの診断に有用
自己免疫性肝炎診断指針
(厚労省難治性の肝疾患調査研究会 1996年)
概念
中年以降の女性に好発し、慢性に経過する肝炎であり、肝細胞障害
の成立に自己免疫機序が想定される*1。診断にあたっては肝炎ウィ
ルス*2、アルコール、薬物による肝障害、および他の自己免疫疾患
に基づく肝障害を除外する。免疫抑制剤、特にコルチコステロイド
が著効を奏す*3。
主要所見
1)血中自己抗体(特に抗核抗体・抗平滑筋抗体など)が陽性
2)血清γグロブリン値またはIgG値の上昇(2g/dl以上)
3)持続性または反復性の血清トランスアミナーゼ値に異常
4)肝炎ウイルスマーカーは原則として陰性*2
5)組織学的には肝細胞壊死所見およびpiecemeal necrosisを伴う
慢性肝炎あるいは肝硬変であり、しばしば著明な形質細胞浸潤
を認める。特に急性肝炎像を呈する
(註)
*1:本邦ではHLA−DR4陽性症例が多い
*2:本邦ではC型肝炎ウィルス血症を伴う自己免疫性肝炎がある
*3:C型肝炎ウィルス感染が明らかな症例では、インターフェロン
治療が奏効する例もある
診断
上記の主要所見1)から4)より、自己免疫性肝炎が疑われた場合
組織学的検査を行い、自己免疫性肝炎の国際診断基準を参考に診断
する。
▽自己免疫性肝炎(AIH) のキーワード
▽次の記事、前の記事
スポンサードリンク
当サイトのRSS
サイトについて
注意事項新着アイテム
ジャンル
Copyright (C) 2008
by 健康診断・血液検査MAP