炎症増強因子 TREM-1

TREM-1は、免疫グロブリンスーパーファミリーに属しており、免疫関連細胞では好中球や単球/マクロファージ、骨髄由来樹状細胞、およびNK細胞の表面に高発現している受容体です

スポンサードリンク

炎症増強因子 TREM-1

TREM-1(triggering receptor expressed on myeloid cell-1)は、免疫グロブリンスーパーファミリーに属しており、免疫関連細胞では好中球や単球/マクロファージ、骨髄由来樹状細胞、およびNK(natural killer)細胞の表面に高発現している受容体です。低発現細胞としては、T細胞および全てのおB細胞サブセットが知られています。
TREM-1はToll様受容体(toll-like receptor:TLR)を介した炎症反応を相乗的に増強することから、生体内の炎症を惹起し増強する因子と認識されています。
TREM-1の発現は、生体内で細菌感染症の存在下で特に増強されることが知られていますが、膵炎や炎症性腸疾患、痛風、関節リウマチなどの非感染性炎症性疾患でも増強します。また。グラム陽性菌やグラム陰性菌、真菌に感染した組織、皮膚、体液中でも劇的に増加します。これは、上皮細胞をはじめ、線維芽細胞、リンパ節、脊髄、肺、心臓、および胎盤などの免疫関連細胞以外においてもTREM-1が発現しているためです。

TREM-1の構造と機能
ヒトTREM-1は染色体6p21.1にコードされており、185アミノ酸残基の細胞外ドメインと41アミノ酸の膜貫通ドメイン、および8アミノ酸の細胞内ドメインから構成されています。膜貫通ドメインは、DAP12の膜貫通部位のアスパラギン酸と塩橋を形成するリジンを含み、TREM-1とアダプター蛋白との相互作用をつかさどっています。
TREM-1やパターン認識受容体(pattern recognition receptor:PRR)の単独架橋よりも、TREM-1とPRR同士で架橋したほうがサイトカイン産生が増強することが知られており、TREM-1はPRRと共役して炎症反応において相乗的に働きます。
最近、TREM-1のリガンドが好中球ペプチドグリカン認識蛋白(peptidoglycan recognition protein 1:PGLYRP1)であることが報告され、細菌由来のペプチドグリカンとPGLYRP1が複合体を形成し、さらに既知のTREM-1を介したシグナル伝達が開始されます。このとき、細菌感染によって膜結合型mTREM-1の細胞外ドメインが切断を受けて遊離し、可溶性sTREM-1となり、細菌感染症発症時のバイオマーカーとなります。

▽炎症増強因子 TREM-1 のキーワード

▽次の記事、前の記事

インフルエンザワクチン注意点 脳血管障害・糖尿病・周術期 | TREM-1 感染症診断用バイオマーカーとしての有用性

スポンサードリンク

健康診断・血液検査MAP:新着記事

TREM-1 感染症診断用バイオマーカーとしての有用性
細菌や真菌感染症では、食細胞膜のTREM-1の細胞外ドメインが切断を受けて血清。胸水、肺細胞洗浄液、尿、および脳脊髄液中に増加してくるため、sTREM-1を酵素免疫測定法(ELISA)で同定することが可能です。
炎症増強因子 TREM-1
TREM-1は、免疫グロブリンスーパーファミリーに属しており、免疫関連細胞では好中球や単球/マクロファージ、骨髄由来樹状細胞、およびNK細胞の表面に高発現している受容体です
インフルエンザワクチン注意点 脳血管障害・糖尿病・周術期
糖尿病がインフルエンザワクチンの効果に及ぼす影響については十分なレビューはないようですが、ワクチン効果がやや落ちるものの有効であるとする報告もあります。
インフルエンザワクチン注意点 肝・自己免疫疾患・HIV
肝疾患の患者に対するインフルエンザワクチンの効果については、十分な研究がなされていませんが、肝硬変の患者に同ワクチンを接種した群では、インフルエンザ様症状の出現率やウイルス検出率が有意に減少したとする報告があります。
インフルエンザワクチン注意点 呼吸器・心血管疾患・腎障害
喘息の患者へのインフルエンザワクチン接種後にピークフローの低下を認めた報告があります。
基礎疾患がある人へのインフルエンザワクチン接種時の注意点
基礎疾患を有する患者へのワクチン接種においては、基礎疾患自体による症状や、併用する治療薬の影響と、ワクチンの副反応との鑑別に苦慮する例が多くなるのでワクチン接種後の注意深い観察が求められます。
ピロリ陰性の胃疾患に関与 ヘリコバクターハイルマニイ
ピロリ菌陰性であっても胃疾患を発症する患者がいます。これらの胃疾患に関係しているとみられているのが、ピロリ菌ではないヘリコバクターハイルマニイ(Helicobacter heilmannii)です。
ペリオスチン 気管支喘息・特発性肺線維症のマーカー
ペリオスチンは、マトリセルラー蛋白質と呼ばれる細胞外マトリックス蛋白質の一種であり、IL-4/IL-13やTGF-βなどのサイトカイン刺激で発現が誘導され、TH2または線維化を示すバイオマーカーです。
デング熱 蚊で媒介されるデングウイルス感染症
デング熱は、ネッタイシマカなどの蚊によって媒介されるデングウイルスの感染症です。4種の血清型が存在し比較的軽症のデング熱と、重症型のデング出血熱とがあります。
新規保険収載 デングウイルスNS1抗原定性
NS1抗原を標的にした検査法は、ウイルス遺伝子が消失したあとも検出が可能であることから、デングウイルス感染の診断補助に有用であるといわれています。

Valid XHTML 1.0 Transitional Valid CSS! Lint