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五十肩(frozen shoulder)は、中高年に多く見られる運動器系疾患の一つで、肩関節の運動障害と、肩・首筋・上腕などの鈍痛を愁訴とするものの通称です。1960年代までは四十肩と呼ぶのが一般的でしたが、現在では五十肩(ごじゅうかた)と呼ぶことが多いようです。
五十肩は、肩関節を構成する筋肉群が損傷した結果、後日に拘縮(こうしゅく:ちぢむこと)と呼ばれる変化を来し、運動制限、特に挙上困難となり、進行すれば関節に負担がかかるため、骨・軟骨・靱帯・関節包をも悪くしてします。
ひと言に五十肩といってもその原因疾患には以下のものがあり、それぞれに治療法が異なりますので、整形外科等を受診し、病名をきちんと診断してもらい、適切な治療を行う必要があります。
1)腱板損傷・腱板断裂:腱板が加齢によって痛んできて炎症を起こした状態、腱板が傷ついて切れた状態。
2)上腕二頭筋長頭腱炎:上腕二頭筋の腱が肩で擦れて炎症を起こした状態。
3)石灰沈着性滑液包炎:腱板の周辺に石灰物が沈着し、腱板や滑液包が炎症を起こして肩関節に痛みと運動制限を引き起こした状態。
4)石灰沈着性腱板炎:腱板に石灰が貯まり、その刺激によって炎症を起こした状態。
5)SLAP lesion:上腕二頭筋長頭腱の付着する上部関節唇が破綻した状態。投球動作など、ものを投げる動作において上腕の急激な牽引と二頭筋の強い収縮によって発生する。
その症状は、最初、肩関節付近に鈍痛がおこり、腕の可動範囲の制限が起こります。次第に痛みは鋭いものになり、急に腕を動かす場合などに激痛が走るようになります。痛みのために、腕を直角以上に上げられなくなったり、後ろへはほとんど動かせないなどの運動障害が起こり、生活にも支障をきすようになります。
重症化すると、洗髪、髪をとかす、歯磨き、炊事、洗濯物を干す、電車のつり革につかまる、洋服を着る、寝返りを打つ、排便後の始末などが不自由となり、日常生活に大きな困難をもたらす場合があります。軽症で済むか重症化するかのメカニズムもはっきりとはしていません。
また、痛みは片方の肩だけの場合と、一方の肩が発症してしばらく経つともう片方の肩にも発症してしまう場合とがあるようです。また、痛みのピーク時には肩の痛みに加えて、腕全体にだるさや痺れがある場合もあり、常に腕をさすっていないと我慢できない、と訴える人もいます。
初期の症状が始まってからピークを迎えるまでに、数ヶ月を要し、ピークは数週間続き次第に和らいできます。痛みのレベルにもよりますが、鋭い痛みが感じられなくなるまでに半年前後、さらにボールなど物を投げられるようになるまでには1年前後を覚悟する必要があるようです。腕の可動範囲を発症前の状態までに戻せるかどうかは、痛みが緩和した後のリハビリ次第ですが、多くの場合元の状態までには戻りにくいのが現実のようです
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