扁桃炎(へんとうえん)とアデノイド

扁桃とはアーモンドのことで、口蓋扁桃の形が似ているのでそう呼ばれています。主として口蓋扁桃に生じた炎症が扁桃炎で、咽頭扁桃の肥大がアデノイドです。

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扁桃炎(へんとうえん)とアデノイド

口蓋扁桃、咽頭扁桃などの咽頭部のリンパ組織を総称して扁桃とい
います。咽頭の入り口を取り囲んでいることから、咽頭リンパ輪ま
たはワルダイヤー輪とも呼ばれます。
扁桃とはアーモンドのことで、口蓋扁桃の形が似ているのでそう呼
ばれています。主として口蓋扁桃に生じた炎症が扁桃炎で、咽頭扁
桃の肥大がアデノイドです。

のど断面図

・扁桃炎
原因:かぜをひくと急性扁桃炎がおこります。口蓋扁桃には、多く
   のくぼみがあり、扁桃内に袋小路のように広がっています。
   このため口蓋扁桃の表面積は大きくなり、外界からの細菌や
   ウイルスなどに接触しやすくなります。急性扁桃炎を繰り返
   していると、慢性扁桃炎に移行しやすく、いずれも若年者多
   くおこります。
症状:扁桃炎では、咽頭痛、嚥下痛、頸部リンパ節腫脹などのほか
   倦怠感、発熱などの全身症状も見られます。扁桃周囲に膿が
   たまり、痛みが激しく、ものが飲み込めない場合を扁桃周囲
   膿瘍といいます。
   慢性口蓋扁桃炎をきっかけとして、扁桃以外の場所に2次的
   に疾患が発生する場合を扁桃病巣感染症といい、皮膚疾患の
   一種の掌蹠膿疱症(*1)や胸肋鎖骨過形成症(*2)、IgA
   腎症(*3)などが代表的です。

・アデノイド
原因:アデノイドは、正確にはアデノイド増殖症といいます。3〜5
   歳で生理的な肥大があり、思春期以降には自然に小さくなり
   ます。咽頭扁桃は鼻腔の奥にあって、大気中のほこりや微生
   物にさらされやすく、炎症を繰り返すと肥大して、鼻や中耳
   に悪影響をもたらすようになります。
症状:鼻閉、アデノイド顔貌と呼ばれる特徴的な口呼吸が認められ
   ます。中耳のほうに波及すると耳管狭窄症や滲出性中耳炎を
   引き起こし、難聴になります。睡眠中にいびきをかきますが
   高度になると就寝中に呼吸が止まり、一晩に何回も繰り返す
   ようになります。これを睡眠時無呼吸症候群といいます。

(*1)掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)
ウミが溜まった膿疱と呼ばれる皮疹が手のひら(手掌)や足の裏
(足蹠)に数多くみられる病気で、周期的に良くなったり、悪くな
ったりを繰り返します。ときに、足と手のほかにスネや膝にも皮疹
が出ることがあります。皮疹は小さな水ぶくれ(水疱)が生じ、次
第に膿疱に変化します。その後、かさぶた(痂皮)となり、角層
(皮膚の最表層にある薄い層)がはげ落ちます。後にこれらの皮疹
が混じった状態になります。出始めに、よくかゆくなります。
水虫と異なって小水疱や膿疱が指の股にできず、季節とも関係ない
のが特徴で慢性扁桃炎などからだの他の部位の炎症を取り除くと症
状が消えることから、他の部位の炎症に対するアレルギーと考えら
れています。

(*2)胸肋鎖骨過形成症(きょうろくさこつかけいせいしょう)
1957年に、ドイツではじめてその存在が報告された疾患で、胸骨、
第1肋骨および鎖骨をつないでいる靱帯(じんたい)などの組織が
炎症をおこし、骨状の組織におきかわってしまう(骨化)というも
のです。独立した疾患ではなく、他に病気があってそれが原因にな
っておこります。多くの場合、掌蹠膿疱症を合併していることから
慢性扁桃炎に端を発する疾患と考えられています。

(*3)IgA腎症
腎糸球体の中のメサンギウムという組織に、免疫グロブリンA(I
gA)抗体、補体が沈着してメサンギウムが増殖し、それにより糸
球体が障害される疾患です。無症候性血尿、タンパク尿で発症しま
す。日本人に多く慢性扁桃炎をもっているケースも多い。


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