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LRG(leucine rich α-2 glycoprotein:RPG)は、関節リウマチの血清蛋白質の発現原因を定量的に解析した際に、発見された蛋白質です。LRGは血清中に存在することが1977年に発見されており、特徴的な構造としてはロイシンリッチリピート(leucin-richrepeat)と呼ばれるドメインを8つ含む蛋白質ですが、その生理的な機能はまだ明らかにされていません。
LRGが関節リウマチだけでなくクローン病の疾患活動性と相関することは分かっていますが、潰瘍性大腸炎においても有意に相関が認められました。
潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis:UC)の患者血清中のLRG濃度をELISA法で定量した結果、活動期の血清LRG濃度は寛解期および健常人のものよりも有意に高値をを示しました。UCの疾患活動性スコアとして、臨床症状を数値化したclinical activity index(CAI)が用いられていますが、血清LRG濃度はCRPよりも強くCAIと有意に相関し、治療後の患者血清中のLRG濃度は治療前に比べ有意な低下を認めました。また、ROC解析から、血清LRG濃度はUC活動期と寛解期を区別するマーカーとしてCRPよりもすぐれています。さらにLRGはCAIだけでなく内視鏡スコアに対してもCRPよりも強く相関関係を示しました。CRPは炎症時に肝臓から産生されることが知られていますが、CRPと異なる特徴として、LRGは正常腸組織からは発現がほとんどみられないものの、UC患者の炎症局所である腸組織においては高発現するため、疾患活動性とより強く相関することが示唆されました。また、IL-6欠陥マウスを用いて炎症性腸疾患モデルを解析した結果、LRGの発現にはIL-6が必ずしも必要ではないことが明らかになり、従来の炎症マーカーとして使用されているCRPとは異なる発現調節機序をもつことがわかりました。
これらの結果から、LRGはCRPとは異なるUCの新規疾患活動性マーカーとなりうること、LRGがIL-6非依存性の発現調節機序が存在する炎症マーカーとなりうるため、IL-6阻害療法を受ける関節リウマチなどの自己免疫性疾患の疾患活動性マーカー、あるいは感染症を検出できるマーカーとなりうることも考えられます。
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