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動脈硬化の進展は、小さなプラーク破裂を繰り返しながら不安定プラークが増大して血栓を形成する過程を経るため。血管の慢性的な炎症と深く関与しています。
現在炎症マーカーとしては、CRP(C反応性蛋白)が最も頻用されていますが、CRPは肝臓から産生され、感染症など様々な疾患でも上昇し、血管に特異的ではありません。
一方、CRPと同じ炎症性タンパク質であるペントラキシン3(PTX3)は、血管内皮細胞などから産生され、血管の炎症を直接的に敏感に反映し、血栓と強い相関があるなどの特徴が明らかになってきています。最近の研究では、ペントラキシン3(PTX3)は、急性心筋梗塞に移行する前段階の不安定狭心症で上昇することが報告されており、動脈硬化疾患の憎悪課程を早期から反映する炎症マーカーとして期待されています。
検査材料:EDTA加血漿
測定方法:ELISA
基準値:単位(ng/ml) 0.73〜5.49
上昇する疾患
冠動脈疾患、動脈硬化
CRPやSAP(Serum amyloid P component)は、Pentraxin FamilyのShort Pentraxinに分類され、肝臓で合成されます。また、Pentraxin3(PTX3)は、Pentraxin familyのLong Pentraxinに分類され、IL-1やTNFの刺激で、動脈硬化と密接な関連をもつ血管内皮細胞や血管平滑筋マクロファージや、白血球などから直接産生されます。
・研究過程
急性心筋梗塞の前段階である不安定狭心症は心電図変化も少なく、また有効な血液マーカーが少なく、その診断には循環器専門医による詳細な問診によることが多い。そこで、LSBMの当時大学院生だった森川滋博士は血管内皮細胞でピタバスタチンによって最も抑制される遺伝子としてcDNAマイクロアレイによる解析からPentraxin 3 (PTX3)を同定した。 PTX3はC反応性蛋白(CRP)とファミリーを形成している。肝臓で発現しているCRPと異なり血管内皮細胞や平滑筋細胞、白血球に特異的に発現している。いわばPTX3は血管CRPといえる。
PTX3ノックアウトマウスからPTX3複合体(分子量30万から50万)を免疫して多量体認識モノクローナル抗体を作り高感度アッセイ系を作った。正常値を50人の健常人から採血し決定したのち、高血圧や糖尿病、高脂血症で加療中であるが、胸痛症状のない患者162名のPTX3を測定したところCRPと異なり、PTX3は血圧やコレステロール値、年齢や肥満、糖尿病の程度に影響されない独立した因子であることがわかった。そしてPTX3は正常範囲内だった。
次に冠動脈疾患を疑われたため、冠臓脈造影検査を施行された患者252名のPTX3を測定したところ、PTX3は冠動脈形成術や冠動脈バイパス術といった治療を要する冠動脈疾患の患者で有意に増加した。なかでも不安定狭心症の患者では正常値の3倍以上の値を示した。
以上よりPTX3は動脈硬化の中でも症状の安定した「慢性動脈硬化症」では特に増加しないが、状態が不安定である「急性動脈硬化症」で増加する新たな血管炎症性マーカーであることがわかった。
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