TREM-1 感染症診断用バイオマーカーとしての有用性 - 炎症と炎症マーカー

炎症は臨床的に最もしばしば遭遇する病態で、生体の細胞や組織の障害・壊死に対する一連の生体防御反応をいいます。炎症マーカーとは炎症の有無や重傷度を反映し、炎症の診断や経過観察に役立つ臨床検査の総称です。

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TREM-1 感染症診断用バイオマーカーとしての有用性

細菌や真菌感染症では、食細胞膜のTREM-1の細胞外ドメインが切断を受けて血清。胸水、肺細胞洗浄液、尿、および脳脊髄液中に増加してくるため、sTREM-1を酵素免疫測定法
(enzyme linked immunosorbent assay:ELISA)で同定することが可能です。すでに数社からキット化され市販されています。
敗血症における血清中のsTREM-1の動態に関してはCRPおよびプロカルシトニン(PCT)の動態と比較した報告があります。敗血症患者血漿中における急性期のsTREM-1、CRP、PCTの定量値は全身性炎症反応症候群(SIRS)患者のこれらの値より高値を示しました。sTREM-1のSIRS患者血漿中の濃度平均が59.97pg/mLに対して敗血症患者では149.06pg/mLを示しました。しかし好中球減少症をはじめとした免疫細胞の減少を伴う疾患では、感染急性期の血清中sTREM-1濃度が有意に上昇しない可能性もあり注意を要します。

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炎症増強因子 TREM-1

TREM-1(triggering receptor expressed on myeloid cell-1)は、免疫グロブリンスーパーファミリーに属しており、免疫関連細胞では好中球や単球/マクロファージ、骨髄由来樹状細胞、およびNK(natural killer)細胞の表面に高発現している受容体です。低発現細胞としては、T細胞および全てのおB細胞サブセットが知られています。
TREM-1はToll様受容体(toll-like receptor:TLR)を介した炎症反応を相乗的に増強することから、生体内の炎症を惹起し増強する因子と認識されています。
TREM-1の発現は、生体内で細菌感染症の存在下で特に増強されることが知られていますが、膵炎や炎症性腸疾患、痛風、関節リウマチなどの非感染性炎症性疾患でも増強します。また。グラム陽性菌やグラム陰性菌、真菌に感染した組織、皮膚、体液中でも劇的に増加します。これは、上皮細胞をはじめ、線維芽細胞、リンパ節、脊髄、肺、心臓、および胎盤などの免疫関連細胞以外においてもTREM-1が発現しているためです。

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PGE-MUM 潰瘍性大腸炎のモニタリング

PGE-MUM(prostaglandin E-major urinary metabolite)は、炎症性腸疾患と過敏性腸症候群とを鑑別するために有用といわれている検査です。
比較的安定した化合物であり、炎症の仲介物質であるプロスグランディンの尿中代謝産物であるPGE-MUMの濃度を測定します。
PGE-MUMは、炎症潰瘍性大腸炎の活動期(炎症所見)と有意に相関するといわれており、潰瘍性大腸炎(UC)と過敏性腸症候群などの他疾患との鑑別や治療効果予測、モニタリングに有用とされています。

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炎症と炎症マーカー のアイテム
α1アンチトリプシン(α1-AT)
血清中の代表的なプロテアーゼインヒビターであり急性相反応物質の一つ。欠損症で若年性肺気腫を引き起こす蛋白質
潰瘍性大腸炎の新規疾患活動性マーカー LRG
潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis:UC)の患者血清中のLRG濃度をELISA法で定量した結果、活動期の血清LRG濃度は寛解期および健常人のものよりも有意に高値をを示しました。
炎症の段階的病態と検査値の変化 第4〜7段階
炎症病態はベッドサイドからみて7段階の順序で進行することが多く、第4〜5段階までに治療方針を決定し実施することが望ましいとされています。第6〜7段階は末期的状態です。
炎症の段階的病態と検査値の変化 第1〜3段階
炎症は通常病態の進み方に応じて炎症マーカーを中心とする検査値の変化が起こります。この変化は時間経過に伴い、極期を過ぎ病状の改善とともに終息に向かいます。
ネオプテリン
感染症・肝炎・AIDS・移植後の拒絶反応時に血清中のネオプテリンが上昇することが報告されています。
炎症のメカニズム 炎症性サイトカインの産生システム
この放出された1型IFNと炎症性サイトカインが、細胞浸潤と浮腫を誘導し、この変化により臨床症状を生じたものが“炎症”です。
炎症性サイトカイン TNFα 腫瘍壊死因子-α の機能
炎症性サイトカインTNFαの機能にはアポトーシス・ネクローシスの誘導と血清mAST・LDHの上昇・フェリチンの誘導・総コレステロールの低下と中性脂肪の上昇があります。
抗アクアポリン4抗体 ELISA法 視神経脊髄炎の鑑別診断
抗アクアポリン4抗体の測定は、治療法の異なるNMOとMSの鑑別診断に有用です
SAA炎症マーカー 血清アミロイドA
SAAの特徴は、CRPが正常か、あまり上昇を見ないような炎症性疾患で高値が認められることにあります。
α1アシドグリコプロテイン α1AG
CRPをはじめとする急性相反応物質の一種。急性・慢性感染症、自己免疫性疾患、アレルギー性疾患などにより産生が亢進し、血中濃度が上昇します。
突然!肩・腕に激痛が・・これって五十肩?
痛みのために、腕を直角以上に上げられなくなったり、後ろへはほとんど動かせないなどの運動障害が起こり、生活にも支障をきすようになります
血管炎症マーカー・ペントラキシン3(PTX3)
動脈硬化の進展に関与する血管炎症マーカーです。不安定狭心症の診断に期待されています。
扁桃炎(へんとうえん)とアデノイド
扁桃とはアーモンドのことで、口蓋扁桃の形が似ているのでそう呼ばれています。主として口蓋扁桃に生じた炎症が扁桃炎で、咽頭扁桃の肥大がアデノイドです。
フィブリノーゲン(Fib)
フィブリノーゲンは分子量約34万の糖蛋白であり肝(実質)細胞で産生され、およそ80%が血漿中に、残りは組織中に存在し、その生体内半減期は3〜4日です。
赤沈(血沈)検査
血液に抗凝固剤を加えて凝固しないように放置すると、やがて赤血球が試験管の底に沈み、血漿の一部が上方に分離されてきます。この現象を赤血球沈降現象または赤沈(erythrocyte sedimentation)と呼び、一定条件下で赤沈の起こり方を見るのが赤血球沈降速度または赤沈値(erythrocyte sedimentation rate:ESR)です。
炎症マーカー CRP C反応性蛋白
C反応性蛋白(C-reactive protein:CRP)とは、体内で炎症反応や組織の破壊が起きているときに血中に現れるタンパク質で、肺炎球菌のC多糖体と結合するためこの名があります。
炎症と炎症マーカー
炎症は臨床的に最もしばしば遭遇する病態で、生体の細胞や組織の障害・壊死に対する一連の生体防御反応をいいます。

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