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肥満は、心血管イベントのリスクファクターとして確立されており、BMIが高いほうが心不全による入院後死亡率は低く、心不全の長期予後は良好だとするデータが海外で報告され、「肥満パラドックス」として注目が集まっていますが、この「肥満パラドックス」が日本人の心不全患者にも当てはまることが示唆される研究結果が発表されました。
今回の研究では、心臓血管研究所心研データーベースを用い、登録患者1万9994人の中から抽出したLVEF≦50%の症候性心不全患者337人を対象としています。
BMIによって、やせ群 (BMI<20kg/m2)51人(15%)、正常群 (BMI=20〜24.9kg/m2)152人(45%)、過剰体重群 (BMI=25〜29.9kg/m2)109人(32%)、 肥満群 (BMI=30kg/m2)25人(7%)の4群に分け解析を行った結果は以下のとおりです。
1)BMIは年齢と性差で有意差があり、BMIが高い群ほど年齢は若く、男性の割合は高かった。BMI群間において、NYHA(New York Heart Association)の心機能分類、および薬物治療に違いは見られなかった。
2)総死亡についてカプランマイヤー曲線を作成すると、BMIが高い群の方が、低い群よりも有意に生存率が高い結果が得られた(P=0.012、Log-rank test)。
3)心不全再入院についても、有意差はなかったが、BMIが高い群のほうが低い群よりも、心不全再入院が少ない傾向が見られた。
4)「総死亡and/or心不全再入院」を長期予後とした場合、BMIが高い群のほうが低い群よりも、有意に予後が良好であることが示された(P=0.002、Log-rank test)。
5)Cox回帰分析によるハザード比(HR)は、やせ群をリファレンスとした場合、正常群はHRが0.623(95%信頼区間[95%CI]:0.368-1.054、P=0.077)、過剰体重群はHRが0.356(95%CI:0.189-0.671、P=0.001)、肥満群はHRが0.238(95%CI:0.082-0.695、P=0.009)となり、BMIが高くなるほどHRは有意に低くなった(補正前)。
6)独立因子の年齢、性別で補正後のハザード比は、正常群のHRが0.586(P=0.047)、過剰体重群のHRが0.389(P=0.004)、肥満群HR 0.309(P=0.034)で、やはり有意差を持ってBMIが高いほうがHRは低下した。
( 第78回日本循環器学会より )
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