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抗デスモグレイン1および3抗体は、自己抗体を介する臓器特異的自己免疫性皮膚疾患である天疱瘡の自己抗体です。
天疱瘡(pemphigus)は、皮膚・粘膜の水疱・びらんを主徴とする自己免疫性水疱症です。細胞膜表面に対する自己抗体の関与により、細胞間接着が阻害されて、表皮内に棘融解性水疱を生じる天疱瘡は、臨床症状、病理組織学的所見、血清学的特徴により大きく尋常性天疱瘡(pemphigus vulgaris:PV)と落葉状天疱瘡(pemphigus foliaceus:PF)の2型に分類されます。尋常性天疱瘡の自己抗原がデスモグレイン3、落葉状天疱瘡の自己抗原がデスモグレイン1です。尋常性天疱瘡の亜型として増殖性天疱瘡、落葉状天疱瘡の亜型として紅斑性天疱瘡があり、新しく提唱された疾患群として腫瘍随伴性天疱瘡(paraneoplastic pemphigus:PNP)があります。天疱瘡患者は約4,000〜5,000人存在すると推定され、発症年齢は45〜55歳に多く、性別では女性にやや多いとされています。
尋常性天疱瘡は、天疱瘡の中で最も多く、また最も重症度の高い病型です。ほぼ全例において口腔粘膜のびらんで初発し、重症例では、有痛性びらんのために、食事摂取に困難をきたすことも多く、約60%の症例において、粘膜だけでなく皮膚にも広範囲に弛緩性水疱、びらんを認めます。臨床的に主に粘膜に病変を認め、皮膚にはわずかな病変しか認めないものを粘膜優位型、粘膜だけでなく皮膚病変を広範囲に認めるものを粘膜皮膚型と分類します。
落葉状天疱瘡は、天疱瘡群の中では、中等度、軽症例の多い病型です。頭部・顔面・胸・背などの脂漏部位に鱗屑や痂皮(かさぶた)を伴った紅斑と水疱、浅いびらんを生じ、口腔などの粘膜には病変を認めません。
検査材料:血清
測定方法:ELISA
基準値:抗デスモグレイン1抗体 14未満
抗デスモグレイン3抗体 7未満
・抗デスモグレイン抗体のパターンと天疱瘡の病型
抗Dsg1抗体(+)抗Dsg3抗体(-):落葉状天疱瘡
抗Dsg1抗体(-)抗Dsg3抗体(+):尋常性天疱瘡(粘膜優位型)
抗Dsg1抗体(+)抗Dsg3抗体(+):尋常性天疱瘡(粘膜皮膚型)
抗Dsg1抗体(-)抗Dsg3抗体(-):正常・他の水疱性疾患
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