スポンサードリンク
重症筋無力症(myasthenia gravis:MG)は、神経筋接合部のシナプス後膜上にあるいくつかの標的抗原に対する自己抗体の作用により、神経筋接合部の刺激伝達が障害されて生じる自己免疫疾患で、現在本邦のMG患者数は約2万人といわれています。
MGの臨床症状の特徴は、運動の反復・持続に伴い骨格筋の筋力が低下し、これが休息により改善する「易疲労性」と、夕方に症状が悪化する「日内変動」です。初発症状としては、眼瞼下垂や眼球運動障害による複視などの眼症状が多いことがあげられます。
MGと推測される疾患で、抗アセチルコリン受容体抗体(抗AChR抗体)が検出されないMG疾患があり、神経筋接合部に存在するMuSKに対する抗体である抗筋特異的チロシンキナーゼ抗体(抗MuSK抗体)が出現することが明らかになっています。抗MuSK抗体の測定により、臨床的には典型的な全身型重症筋無力症症状を呈しながらも、抗AchR抗体が検出されないseronegative MG症例の検出が可能となります。
抗MuSK抗体陽性重症筋無力症では臨床的特徴や治療方法が異なることや、抗MuSK抗体価と臨床像が著しく相関した動きをすることなどから、抗Musk抗体の測定は、抗MuSK抗体陽性重症筋無力症の確定診断のみならず、臨床経過の観察や治療方針を立てる上での指標として有用です。
抗MuSK抗体の陽性率は、人種により異なることが報告されています。本邦ではMG全体の約80〜85%が抗AchR抗体陽性で、抗AchR抗体陰性のうちの27〜41%で抗MuSK抗体が陽性になります。すなわち抗MuSK抗体の陽性率はMG全体の約5%と推測されます。
検査材料:血清
測定方法:RIA
基準値:単位(nmol/L)0.02未満
陽性を示す病態:重症筋無力症(MG)
AChR抗体陽性MGとMuSK抗体陽性MGの比較
・AChR抗体陽性MG
頻度:80〜85%
男女比: 1:2
臨床像:眼症状で発症し全身型へ
眼筋型の頻度:20〜40%
筋委縮の頻度:10%
クリーゼ合併率:10〜20%
抗コリンエステラーゼ薬:著効
胸腺腫の合併率:20〜30%
自己抗体IgGサブクラス:IgG1
神経筋接合部病理:補体介在性破壊あり
・MuSK抗体陽性MG
頻度:5〜10%
男女比: 1:3
臨床像:発症時より眼筋・球麻痺型
眼筋型の頻度:3%
筋委縮の頻度:26%
クリーゼ合併率:33%
抗コリンエステラーゼ薬:不定
胸腺腫の合併率:0%
自己抗体IgGサブクラス:IgG4
神経筋接合部病理:補体介在性破壊なし
▽抗MuSK抗体 抗筋特異的チロシンキナーゼ抗体 のキーワード
▽次の記事、前の記事
スポンサードリンク
当サイトのRSS
サイトについて
注意事項新着アイテム
ジャンル
Copyright (C) 2008
by 健康診断・血液検査MAP