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重症筋無力症(myasthenia gravis:MG)は、神経筋接合部のシナプス後膜上にあるいくつかの標的抗原に対する自己抗体の作用により、神経筋接合部の刺激伝達が障害されて生じる自己免疫疾患で、現在本邦のMG患者数は約2万人といわれています。
MGの臨床症状の特徴は、運動の反復・持続に伴い骨格筋の筋力が低下し、これが休息により改善する「易疲労性」と、夕方に症状が悪化する「日内変動」です。初発症状としては、眼瞼下垂や眼球運動障害による複視などの眼症状が多いことがあげられます。
MGと推測される疾患で、抗アセチルコリン受容体抗体(抗AChR抗体)が検出されないMG疾患があり、神経筋接合部に存在するMuSKに対する抗体である抗筋特異的チロシンキナーゼ抗体(抗MuSK抗体)が出現することが明らかになっています。抗MuSK抗体の測定により、臨床的には典型的な全身型重症筋無力症症状を呈しながらも、抗AchR抗体が検出されないseronegative MG症例の検出が可能となります。
多発性筋炎・皮膚筋炎(polymyositis/dermatomyositis:PM/DM)は、骨格筋を障害する自己免疫性の炎症性筋疾患です。小児から高齢者まで幅広い年齢層で発症し、症状は多彩で個人差があります。
PM/DMでは多様な特異的自己抗体が出現しますが、そのなかで最も高頻度にみられるのがアミノアシルtRNA合成酵素(Aminoacyl-tRNA Synthetase:ARS)に対する抗ARA抗体ですです。ARSは、生体内でtRNAにアミノ酸を転移する役割を担う酵素で、タンパク質を構成する20種類のアミノ酸それぞれに対し、対応するARSが1つずつ存在することが知られています。
リウマチ因子(RF)は関節リウマチ(RA)の診断に欠かせないもので、感度は70〜80%とされており、発症初期では50%程度です。RA以外の膠原病、慢性炎症性疾患、高齢者においても陽性となり、これらを対象とした特異度は低くなります。抗ガラクトース欠損IgG抗体(CARF)は感度は高く、早期RAの診断に有用です。
2010年に新RA分類基準が策定され、この中のクコアリングシステムは関節病変、血清学的検査(RF、ACPA)、急性期反応物質(赤沈、CRP)および罹患期間の4項目からなり、10点中6点以上のスコアがあればRA確定例と分類されます。
RFの定量法のほとんどは、WHO標準品(64/001)に準拠されていますが、方法論的に標準物質による標準化は至難の業です。2011年に日本臨床検査標準協議会(JCCLS)が指針「リウマチ因子の標準化カットオフ値を15 IU/mlとする。実測値に係数を加減して補正値とする」を認証し、これによりどの試薬もカットオフ値が15 IU/mlで健常人の5%が陽性となる値を意味し、試薬によって診断精度が異なっていたものが是正されました。
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