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アクアポリンは1992年に発見された水チャネルであり、その多彩なファミリーメンバーは生物界に広く存在します。哺乳類では13種類存在しており、その中のアクアポリン2(aquaporin2:AQP2)は腎臓に存在し尿の濃縮に必須の役割を果たしています。AQP2遺伝子の機能喪失性変異により遺伝性の尿崩症(尿濃縮が障害され著しい多尿を呈する)になることが示されています。抗利尿ホルモンのバソプレシンは腎臓集合管細胞に働き、細胞内に貯蔵されているAQP2が細胞膜表面に移動し、集合管の水透過性の上昇がもたらされ尿は濃縮されます。バソプレシン刺激がなくなるとAQP2は細胞内に取り込まれ貯蔵状態に戻り、次の出動に備えます。このリサイクルするAQP2は最終的には細胞内で代謝分解されますが、その一部は尿中にエクソーム(exosome)の形で排泄されます。この排泄がバソプレシンにリンクして、その作用の指標となることが示されています。
糸球体上皮細胞、たこ足細胞(Podocyte、以下Podo)は特異な形態をとり、高度に機能が分化しており、非常に増殖しにくいなどの生物学的な特性を有しています。そのため種々の障害を受けると糸球体機能に影響を与え、糸球体硬化に関与することが明らかになっています。近年このPodo障害を評価し、治療に役立てる研究が進められており、尿中のPodoの数やPodoマーカーであるポドカリキシン(Podocalyxin:PCX)の定量によるPodo障害の評価が行われています。
その結果次のような臨床的有用性が明らかになりました。
可溶性メソテリン関連ペプチド(Soluble Moesothelin Related Peptides:SMRP)は、細胞膜に結合したメソテリンの可溶化蛋白であり、メソテリンは正常細胞では胸膜・心膜・腹膜等の中皮細胞に存在し、腫瘍細胞では悪性中皮腫・卵巣癌・肺癌等で発現します。メソテリンの生物学的機能に関しては、まだ詳細が解明されていませんが、腫瘍の転移に関連している可能性があります。
アスベスト曝露によって引き起こされる悪性胸膜中皮腫で陽性率84%を示し、中皮腫以外の胸膜疾患、胸膜以外の肺悪性腫瘍、胸膜以外の炎症性呼吸器疾患では陽性率が低いとされています。
中皮腫の臨床経過を反映するため、治療効果のモニターにも有用です。
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