免疫グロブリンG(IgG)を介する全身性アナフィラキシー

近年の研究で、好塩基球が急性アレルギー反応である全身性アナフィラキシーの誘導にも重要な役割を果たしていることが明らかになりました。
アナフィラキシーは、急激な血圧・体温低下・呼吸困難・意識障害をきたす全身性の重篤なアレルギー反応であり、この反応はIgE、肥満細胞、ヒスタミンを介する誘導経路が昔からよく知られています。ところが、さまざまな動物実験モデルの解析から、この古典的経路では説明できない肥満細胞比依存的なアナフィラキシーが存在し、これにはIgEではなくIgGを介する誘導経路が重要であることが明らかになりました(IgG依存性アナフィラキシー)。

東京医科歯科大学大学院総合研究科免疫アレルギー学分野の研究で、マウスにおいてあらかじめ好塩基球を除去すると、IgG依存性アナフィラキシーによるショック死を未然に防げたことから、IgGを介する新たな経路に好塩基球が重要な役割を果たすことが示されました。
また、血小板活性化因子(PAF)阻害剤がIgG依存性アナフィラキシーを強く抑制することや、Igg免疫複合体によって好塩基球を刺激するとPAFが放出されることから、IgG依存性アナフィラキシーには好塩基球由来のPAFが重要な役割を担うことが示唆されました。また、ヒトのアナフィラキシーでもPAFが関与するという報告もあることから、ヒトのアナフィラキシーにおいても好塩基球が関与している可能性があります。

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このページは、が2022年6月12日 12:29に書いたブログ記事です。

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