次世代シークエンサーデータを用いたマイクロバイオーム解析には、16SrRNADNAを用いたアンプリコンシークエンスや、ショットガンシークエンスなどのメタゲノム解析のいずれかが用いられます。マイクロバイオーム解析のメリットは分離培養性の菌も含めて、その生態系の組織を解析できる点にあります。16SrRNADNAに比較して、ショットガンメタゲノムシークエンスでは菌叢のもつ機能につながるような解析もできるというメリットがありますが、コストは高くなるため、研究用途にあわせて選択されます。サンプルは採取法、採取部位(皮膚の場合)、DNA抽出法により結果が大きく変わるので、解析や結果の解釈には注意が必要です。
皮膚は、腸管のように積極的に栄養素を取り込むという役割はなく、おもな役割が外界からの保護であるため、皮膚マイクロバイオームからの全身への影響は、腸管に比較して限定的です。皮膚には、その表面1cm2あたりに100万個、約40種の細菌が生息しています。皮膚マイクロバイオームは、おもにStapylococcus、Corynebucterium、Propionibacuteriumなどの菌により構成され、腸管に比較して少ない菌種で構成されているという特徴があります。思春期には、脂腺の発達に伴い、脂漏部位ではマイクロバイオームに大きな変化が訪れます。皮膚マイクロバイオームは、個人・採取部位・年齢・性別などのより大きく異なりますが、健常成人の皮膚細菌叢を年間で観察した研究からは、一度獲得された皮膚細菌叢は、年間を通じて腫のレベルで安定していることが明らかになっています。