2022年4月アーカイブ

次世代シークエンサーデータを用いたマイクロバイオーム解析には、16SrRNADNAを用いたアンプリコンシークエンスや、ショットガンシークエンスなどのメタゲノム解析のいずれかが用いられます。マイクロバイオーム解析のメリットは分離培養性の菌も含めて、その生態系の組織を解析できる点にあります。16SrRNADNAに比較して、ショットガンメタゲノムシークエンスでは菌叢のもつ機能につながるような解析もできるというメリットがありますが、コストは高くなるため、研究用途にあわせて選択されます。サンプルは採取法、採取部位(皮膚の場合)、DNA抽出法により結果が大きく変わるので、解析や結果の解釈には注意が必要です。

アトピー性皮膚炎は乳児期以降に発症する強いかゆみと慢性湿疹を特徴とするTH2型の皮膚炎です。アトピー性皮膚炎になぜ特異的に黄色ブドウ球菌が生着・増殖するのかは、マイクロバイオーム研究が盛んになる以前、かなり古くから知られています。このように正常なマイクロバイオームが乱れることをdysbiosisといいます。アトピー性皮膚炎でdysbiosisが起こる原因として、抗菌ペプチドの発現が滅弱していることが、黄色ブドウ球菌の生着に影響しているのではないかと考えられていますが、いまだ詳細は不明です。

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