気管支喘息における漢方薬の使い分け

気管支喘息の治療に有用な漢方薬には次のようなものがあり、症状に応じて使い分けの必要性があります。
・麦門冬湯(ばくもんどうとう)
気管支喘息への第一選択漢方薬で、内服10分以内に薬効を認めます。朝起きた時に声がかすれる、喉が乾燥している、イガイガして痛がゆい場合や、外出中に喉がイガイガして咳が出るといった場面でも活用できます。運動時の咳を止めきれない症例では運動直前に、薬の吸入時に咳き込んでしまう症例では吸入直前に内服することで、発作や咳き込みを抑えられます。

・葛根湯(かっこんんとう)
感冒症状(鼻水、頭痛、咽頭痛)が出現した場合。麦門冬湯の内服から10分経過しても咽頭違和感が残る場合は、すぐに葛根湯に切り替えます。

・半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
モストグラフと呼気一酸化窒素濃度測定で異常はなく、肺雑音がなく、SpO2も基準範囲内にもかかわらず息苦しさを訴える場合。内服3日以内に症状が改善すれば、心因性の症状と判断可能です。心因性咳嗽、チック、舌痛症などにも使用できます。

・茯苓飲合半夏厚朴湯(ぶくりょういんごうはんげこうぼくとう)
PPI単剤でGERD(胃食道逆流症)症状が改善しない場合に、PPIに追加します。2〜3日で薬効評価が可能です。

・柴朴湯(さいぼくとう)
西洋薬での治療に行き詰まったときに使用。成人では生物学的製剤に移行する前、小児・乳児の場合にはブデソニドのネブライザー吸入を朝夕に実施しても喘息コントロールができない場合に使用されます。

・立効散(りっこうさん)
アスピリン喘息患者の抜歯時の処置に使用。お湯に溶いてブクブクうがいを10秒間ほど実施し、その後内服します。

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このページは、が2022年1月18日 01:15に書いたブログ記事です。

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