アトピー性皮膚炎で特異的IgE検査実施した時に、ダニ・ハウスダスト・花粉・食物など複数のアレルゲンに対して陽性になることがよくあります。特異的IgE検査の陽性は、基本的にはそのアレルゲンに感作されていることを示しますが、陽性だからと言って必ずしも臨床症状があるとは限りません。特に重症例では非常に多くの項目で陽性になることがあるので注意が必要です。検査陽性のアレルゲンと症状の因果関係を問診を参考に確認することが基本となります。
・アレルゲンと症状の因果関係を考えるときのポイント
1)家塵ダニ(ヤケヒョウヒダニ・コナヒョウヒダニなど)やこれらを主成分とするハウスダスト特異的IgEが陽性
貯蔵庫ダニ(アシブトコナダニ・サヤアシニクダニなど)は家塵ダニと共通のアレルゲン性を持つため、家塵ダニに感作された人は貯蔵庫ダニに感作されていなくても貯蔵庫ダニ特異的IgEが陽性になることがあります。また家塵ダニアレルギーでは、小麦粉を摂取したときに小麦粉の中で繁殖した貯蔵庫ダニに交差反応し、アナフィラキシーをおこす場合があるので注意が必要です。
エビ・カニなどの甲殻類も家塵ダニと一部共通のアレルゲン性を持つため、これらの摂取後に症状が出現しない人でも特異的IgE陽性になることがあります。
2)魚アレルギーでは、多種の魚類で特異的IgE陽性になることがありますが、実際にはそれらの魚を食べても症状が出ない場合があるので、個別に診断することが必要です。また、複数の魚類で症状が誘発される場合は、魚そのものではなく寄生虫のアニサキスアレルギーであることもあり、年齢が上がるほどこの傾向がみられます。この場合はアニサキス特異的IgE検査が有用です。
3)花粉と果物や野菜、小麦などに対する特異的IgEが複数陽性のときは、花粉-食物アレルギー症候群(PFAS)の可能性があります。感作されている花粉の飛散時期には、その花粉と交差反応する食物の摂取に注意し、摂取する場合はできる限り加熱するようにします。また、万が一の症状誘発や憎悪に備え、抗アレルギー薬の処方などの検討が必要です。いずれの場合も普段問題なく食べられるなら、食事から除去する必要はありません。