アレルギー性気管支肺真菌症 ABPM診断基準

アレルギー性気管支肺真菌症(allergic bronchopulmonary mycosis:ABPM)は、主に成人喘息患者あるいは嚢胞性線維症患者の気道に発芽・腐生した真菌が、気道内でI型アレルギーとIII型アレルギー反応を誘発して発症する慢性気道疾患です。わが国ではAspergillus fumigatus(アスペルギルス・フミガーツス)が原因となることが多く、その場合はアレルギー性気管支肺アスペルギルス症(allergic bronchopulmonary aspergillosisi:ABPA)と呼ばれています。

ABPM研究班によって作成された新ABPM臨床診断基準
1)喘息の既往あるいは喘息様症状あり
2)末梢血好酸球数(ピーク時)500/μL以上
3)血清総IgE値(ピーク時)417IU/mL以上
4)糸状菌に対する即時性皮膚反応あるいは特異的IgE陽性
5)糸状菌に対する沈降抗体あるいは特異的IgE陽性
6)喀痰・気管支洗浄液で糸状菌培養陽性
7)粘液栓内の糸状菌染色陽性
8)CTで中枢性気管支拡張
9)粘液栓喀痰の既往あるいはCT・気管支鏡で中枢気管支内粘液栓あり
10)CTで粘液栓の濃度上昇(high attenuation mucus:HAM)

・以上の内6項目以上を満たす場合にABPMと診断する
※項目4)5)6)は同じ属の糸状菌について陽性の項目のみ合算できる(例:アスペルギルスに対するIgEと沈降抗体が陽性だが、培養ではぺニシリウム属が検出された場合は2項目陽性と判定する)
項目7)の粘液検体が得られず5項目を満たしている場合には、気管支鏡検査などで粘液栓を採取するように試みる。困難な場合は「ABPM疑い」と判定する。

※嚢胞性線維症(Cystic Fibrosis:CF)は、白人に高頻度でみられる遺伝性疾患の一種で、常染色体劣性遺伝を示します。原因は塩素イオンチャネル(CFTR)の遺伝子異常で、水分の流れに異常をきたし粘液の粘度が高くなります。鼻汁の粘性が強くなると副鼻腔に痛みを感じ、痰の粘性が強くなると、気道を閉塞し肺炎を繰り返すようになり、ついには気管支拡張症をきたします。アレルギー性気管支肺アスペルギルス症も併発しやすいとされています。

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このページは、が2020年10月14日 23:10に書いたブログ記事です。

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