2020年10月アーカイブ

新しいABPM臨床診断基準では、原因真菌の検索に特異的IgE検査が明記されています。検査法や検査の種類によってはABPA症例においてもアスペルギルス特異的IgEの抗体価が陰性になる事例も報告されています。また、特異的IgEのアレルゲンであるアスペルギルスの粗抽出物は真菌種間の交差抗原性が強く、粗抗原に対する特異的IgE陽性は必ずしもアスペルギルスへの感作を示しません。この問題を解決するためにアスペルギルスに特異的なアレルゲンコンポーネントであるAspf1およびAspf2に対する特異的IgE検査が有用とされていますが、いずれの検査も保険適用になっていません。

アレルギー性気管支肺真菌症(allergic bronchopulmonary mycosis:ABPM)は、主に成人喘息患者あるいは嚢胞性線維症患者の気道に発芽・腐生した真菌が、気道内でI型アレルギーとIII型アレルギー反応を誘発して発症する慢性気道疾患です。わが国ではAspergillus fumigatus(アスペルギルス・フミガーツス)が原因となることが多く、その場合はアレルギー性気管支肺アスペルギルス症(allergic bronchopulmonary aspergillosisi:ABPA)と呼ばれています。

ABPM研究班によって作成された新ABPM臨床診断基準
1)喘息の既往あるいは喘息様症状あり
2)末梢血好酸球数(ピーク時)500/μL以上
3)血清総IgE値(ピーク時)417IU/mL以上
4)糸状菌に対する即時性皮膚反応あるいは特異的IgE陽性
5)糸状菌に対する沈降抗体あるいは特異的IgE陽性
6)喀痰・気管支洗浄液で糸状菌培養陽性
7)粘液栓内の糸状菌染色陽性
8)CTで中枢性気管支拡張
9)粘液栓喀痰の既往あるいはCT・気管支鏡で中枢気管支内粘液栓あり
10)CTで粘液栓の濃度上昇(high attenuation mucus:HAM)

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