ケモカインの一種であるTARC(thymus and activation-regulated chemokine)はアトピー性皮膚炎の病態を鋭敏に反映するバイオマーカーです。TARC値を治療法選択に反映させることで、再燃リスクを下げたり、患者・家族のアドヒアランスの向上が期待できます。さらに小児では、アレルギーマーチへの移行を予防できる可能性もあります。
TARCは、皮膚病変がなくなった段階で残存する“目に見えない炎症”をも鋭敏に反映することが明らかになり、この数値を指標にした新たな治療戦略が注目されています。
TARCは、特定の白血球を遊走させるケモカイン(白血球走化性因子)の一つで、皮膚病変(表皮角化細胞など)から産生され、リンパ球の一種であるTh2細胞を病変局所に引き寄せてアレルギー反応を亢進させ、症状を増悪させると考えられています。
アトピー性皮膚炎において皮膚病変がなくなってもTARC値が高い段階では外用ステロイドによる治療を継続し、TARC値が正常化した段階でステロイドを漸減していくことにより「再燃率を大幅に減らせるようになった」との報告があります。またTARC値を活用することで、治療法が正しいかどうかの判断もしやすくなるといわれています。
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