アレルギー最前線 アレルゲン免疫療法

かつて減感作療法と呼ばれていたアレルゲン免疫療法は、アレルギー疾患の原因アレルゲンを投与していくことにより、アレルゲンに暴露された場合に引き起こされる関連症状を緩和する治療法です。アレルゲンをわずかな量から開始し、徐々に量を増加させながら注射もしくは舌下投与し、過剰な免疫反応を弱めていき、症状を起こりにくくする治療法です。
現在わが国ではアレルギー性鼻炎とアトピー型喘息に対して皮下免疫療法が、さらにアレルギー性鼻炎に対しては舌下免疫療法が保健収載されており、食物性アレルギーに対しては経口免疫療法が研究として積極的に取り組まれています。

アレルギー治療の主体は対処薬物療法(抗ヒスタミン薬や副腎皮質ステロイド薬など)ですが、これはアレルギー疾患を治癒に導く可能性をもちません。一方でアレルゲン免疫療法は、当該アレルギー疾患の自然治癒に対して修飾し、全身的・包括的な臨床効果を期待できます。たとえば、現在ダニアレルゲンに対する舌下免疫療法は、アレルギー性鼻炎に適応のある取り組みですが、ダニアレルゲンは鼻炎だけでなく、気管支喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルゲンでもある可能性があり、免疫療法を行うことで、これらの疾患に対しても包括的に効果が期待されます。
しかし、治療は年単位で実施することが必要であり、即効性は期待できないため、実施時には患者の正確な理解が必要とされます。また治療の特殊性から、施行する医師はアレルゲン免疫療法に精通していることが推奨されます。

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このページは、が2019年5月15日 23:41に書いたブログ記事です。

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