2019年5月アーカイブ

アトピー性皮膚炎の治療は、生物学的製剤の適応が最新の治療変化といえますが、適応が限られているため、中等度以下の患者に対しては、FTU(finger tip unit)およびプロアクティブ療法が行われます。
・FTU
FTUは特殊な治療法ではなく。本来の外用療法の基本を再確認して症状改善につなげる考え方です。小児科では患者に処方する時に、体重を目安に処方量を調整しています。これと同じように外用薬に関しても、皮疹の面積によって処方量を変える、すなわち湿疹の面積が広ければ処方量は増え、狭ければその逆となります。具体的には手のひら2枚分の面積に湿布すべき外用薬の量は、その人の人差し指の第一関節から爪先までの量(およそ0.5g)とされます。この量が1FTUと定義されます。

かつて減感作療法と呼ばれていたアレルゲン免疫療法は、アレルギー疾患の原因アレルゲンを投与していくことにより、アレルゲンに暴露された場合に引き起こされる関連症状を緩和する治療法です。アレルゲンをわずかな量から開始し、徐々に量を増加させながら注射もしくは舌下投与し、過剰な免疫反応を弱めていき、症状を起こりにくくする治療法です。
現在わが国ではアレルギー性鼻炎とアトピー型喘息に対して皮下免疫療法が、さらにアレルギー性鼻炎に対しては舌下免疫療法が保健収載されており、食物性アレルギーに対しては経口免疫療法が研究として積極的に取り組まれています。

アレルギー疾患対策基本法

わが国のスギ花粉症の罹患者数は2,000万人とも4,000万人ともいわれ、他のアレルギー疾患含めて、アレルギー疾患は国民病ともいえます。疾病に罹患することで症状に悩まされるのはもちろんのこと、その社会的損失は計り知れません。しかしながら、アレルギー疾患への対応は医療従事者、施設、資源のいずれの側面においても充足している状況になく憂慮されています。
アレルギー疾患対策基本法は、アレルギー疾患の均てん化(医療サービスをはじめとした地域格差をなくし、全国どこでも等しく高度な医療を受けることができるようにすること)を旗印に、わが国のアレルギー診療を総合的に推進しじゅじつを図るために2014年に成立しました。2017年にはアレルギー疾患対策の推進に関する基本的な指針が提示され、より具体的な方向性が示され、現在全国でアレルギー拠点病院の選定などの対策が進行中です。

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