アトピー性皮膚炎 プロアクティブ療法とTARC検査

アトピー性皮膚炎の抗炎症を目的とした治療では、従来は目に見える皮疹にステロイドやタクロリムスなどの抗炎症薬の外用を集中的に行い、皮疹がなくなれば保湿剤に切り替え、皮膚症状が再燃した時点で抗炎症薬を用いる手法が一般的に広く行われてきました。これをリアクティブ療法といいますが、この方法では、短期間で再燃を繰り返すことが多く、長期間にわたって症状のない状態を維持することは困難でした。

プロアクティブ療法は、まず集中的にステロイドなどの外用治療により皮疹の寛解を導入し、その後は以前皮疹のあった部位に間欠的に抗炎症薬の外用を行い、その他の日には保湿剤を外用するというプロトコルで行う、アトピー性皮膚炎の再燃を抑制することを目的とした長期維持療法です。

プロアクティブ療法は、1)目に見えない炎症を抑えられる、2)再燃のリスクを低くし、寛解維持の期間を長く延ばすことができる、3)再燃時も早めに対処できるので、統合した外用薬の量も少なくて済むという利点があります。
プロアクティブ療法は、炎症が治まった後も間欠的に定期外用を塗布する方法であるため、目には見えない炎症を確認しながら適切な治療を行うことが求められます。

血清TARC値は、アトピー性皮膚炎では他の疾患と比べて高値を示し、アトピー性皮膚炎の重症度を明確に反映する血清マーカーです。また、アトピー性皮膚炎の重症度や病勢の参考となる他の病勢マーカー(LDH、総IgE、末梢血好酸球数)と比較して、TARCは治療によるアトピー性皮膚炎の病勢を短期的に鋭敏に反映することが、アトピー性皮膚炎診療ガイドライン(日本皮膚科学会誌)に記載されています。

このブログ記事について

このページは、が2017年5月21日 00:07に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「スギ花粉症の舌下免疫療法 シダトレン薬価承認」です。

次のブログ記事は「花粉症:ハンノキから始まりスギ・ヒノキ・イネ科へ」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。