アレルギー診療最近の動向 舌下免疫療法

アレルギー診療の最近の動向として、わが国において初めてとなる、スギ花粉症を対象とした舌下免疫療法治療薬が承認される見通しとなり、注目を集めています。
これまで用いられてきた皮下投与によるアレルゲン特異的免疫療法では、アドレナリン治療が適応となる程度のアナフィラキシーの頻度が約0.13%あることが報告されており、より安全な治療法の確立が必要と考えられました。一方、マウスのアレルギーモデルを用いた研究から、粘膜免疫の重要性が明らかになり、粘膜免疫を利用した免疫療法に関する知見が集積し、舌下免疫療法は口腔粘膜を利用した手法であり、その安全性と利便性が高いため、臨床応用されてきた経緯もあります。

特異的免疫療法とは、アレルギー疾患の原因アレルゲンを低濃度から投与していくことにより、アレルゲンに暴露された場合に引き起こされるアレルギー症状を緩和することを目的とする治療法です。したがってその対象患者は、IgE依存性アレルギーの診断が正確になされ、症状を起こす原因アレルゲンが正確に同定されていることが必要です。
特異的免疫療法の効果発現機序としては、アレルゲン特異的なTh2型免疫応答の抑制、Tn1型免疫反応の誘導、制御性T細胞の誘導、またアレルゲン特異的IgG4抗体の産生などの免疫学的変化の発現と考えられています。舌下免疫療法では、抗原特異的IgG4とIgAの誘導が報告され、誘導されたIgG4とIgAは阻止抗体として働くとされています。また口腔粘膜に存在する樹状細胞が制御性T細胞を誘導し、免疫反応を抑えることが報告されています。

「鼻アレルギー診療ガイドライン・通年性鼻炎と花粉症2013年版(改定第7版)」では、一般的な薬物療法では得がたい自然経過(natural history)への予防作用、すなわち新規アレルゲン感作の予防作用、喘息など他のアレルギー疾患発症の予防作用、治療終了後の再燃予防作用(臨床的寛解・根治作用)などを考慮し、特異的免疫療法は基礎治療として、アレルギー性鼻炎の重症度にかかわらず適応を有するとされています。

・スギ花粉症に対する舌下免疫療法の適応
1)当初は原則として12歳以上を対象とする
2)特異的IgEが病態に関与している症例を対象とする
3)軽症から重症まで治療対象となりうる

・適応外(禁忌)症例
1)β阻害剤使用中の症例
2)%FEV1が70%以下、または不安定な気管支喘息患者
3)全身ステロイドの連用や抗癌剤を使用している患者
4)重症の口腔アレルギー症
5)治療開始時に妊娠している症例
6)急性感染症に罹患しているとき
7)自己免疫疾患の合併や既往、または濃厚な家族歴を有する患者
8)転居の予定がある、または継続的な通院が困難である例では慎重に考慮する

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このページは、が2014年6月24日 00:10に書いたブログ記事です。

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