アレルゲン刺激性遊離ヒスタミン(HRT)

アレルゲン刺激性遊離ヒスタミン(Histamine Release Test:HRT)は、好塩基球にアレルゲンを反応させることにより、遊離されるヒスタミンを測定する検査です。特異的IgE検査は、血液中の特異的IgEの抗体量を検査するのに対し、 HRTでは、特異的IgE抗体と結合した細胞 (好塩基球) が原因アレルゲンと反応して、アレルギー症状を引き起こす原因物質であるヒスタミンを遊離したかどうかを検査するので、同じin vitroの検査でありながら、特異的IgE検査よりも生体内の反応をより的確に反映するという特徴があります。

採取した血液を調べるため、アナフィラキシーショックなどの危険性がある負荷試験よりも安全に実施ができます。生体内で起こる反応に最も近いin vitoroの検査であり、侵襲性が低いという特徴から、負荷試験の予測などに使用されています。

また、アトピー性皮膚炎の悪化因子とされるヒト汗はHRTでのみ測定可能なアレルゲンです。アトピー性皮膚炎の患者さんでは、ヒト汗抗原に対して約80%が陽性を示すという報告があります。 アトピー性皮膚炎では、自分の汗に過敏に反応し、皮膚症状が悪化すると言われていましたが、 最近、この「ヒト汗」のアレルゲンの正体は、健常人にも常在するカビの一種が産生する蛋白である事がわかり話題になりました。

HRT検査には、乳幼児期用食物、学童・成人期食物、アトピー性皮膚炎の3種類があります。

検査材料:血液2.0 mL(EDTA-2Na)
測定方法:細胞反応測定法
基準値:単位(クラス)0=陰性 1=偽陽性 2〜4=陽性

HRT構成アレルゲン
HRT乳幼児期食物:卵白、オボムコイド、オバルブミン、牛乳、小麦
HRT学童・成人期用食物:ソバ、ピーナッツ、エビ、カニ、ゴマ
HRTアトピー性皮膚炎:ヒト汗、ヤケヒョウヒダニ、ネコ上皮、イヌ皮屑、カンジダ

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このページは、が2014年5月24日 00:19に書いたブログ記事です。

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