アレルギー疾患とアウトグロー

アウトグロー とは、小児の成長に伴って慢性疾患が寛解・治癒する事をいいます。アレルギー疾患 では、食物アレルギーが就学前までに、気管支喘息は思春期前後にアウトグローすることが知られています。一方、アトピー性皮膚炎は乳児期に発症した者のなかで2・3歳までに軽快・消失する一群がありますが、多くはあきらかなアウトグローがありません。アレルギー性鼻炎についてもアウトグローはみられません。
なぜ成長とともに疾患が寛解するのか、なぜ疾患によって異なるのかについては不明な点が多いのですが、アウトグローのメカニズムを解明することで新たな治療法につながる可能性があることも確かです。

食物アレルギーでアウトグローが認められやすいのは、新生児消化器症状、乳児期発症の即時型アレルギー(食物アレルギーの関与する乳児アトピー性皮膚炎を含む)です。アレルゲンは、前者では牛乳、後者では鶏卵・牛乳・小麦です。
特徴的なのは、これらの食物アレルギーは当該アレルゲンをほとんど摂取していない新生児・乳児期に感作が成立し、症状は初めて摂取した食物によって誘発されることが多い点です。吸入性抗原のように、曝露が続くことによって起こるアレルギーとは様相が異なります。
また、当初は当該アレルゲンを摂取すると即時型症状を呈しますが、大半は自然に食べられるようになる一方、学童期以降で発症する甲殻類やソバなどに対する即時型アレルギーは摂取を続けてから発症することが多いのですが、これらはほとんどアウトグローすることはありません。この原因として、抗原により感作・発症のメカニズムが異なることが考えられますが、明確にはされていません。アウトグローのメカニズムについても、これまで新生児・乳児期には未熟であった消化管の免疫機構と消化機能が成長と共に成熟するからと説明されていましたが、これも十分に確認されていません。
アウトグローのためには厳格な除去が良いのか、少なくとも症状を誘発しない程度で摂取を続けた方が良いのか、臨床での有用な指針確立のため、今後のさらなる研究が待たれるところです。

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このページは、が2014年2月26日 22:44に書いたブログ記事です。

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