プロバビリティーカーブ アレルギー症状誘発の目安

プロバビリティーカーブは、特異的IgE抗体価が高いほど、当該アレルギーの症状誘発の可能性が高くなるということを、連続した特異的IgE抗体価と症状の誘発率との関係で示したものです。
Sampsonらは、卵白・牛乳・ピーナッツおよびタラのプロバビリティーカーブを作成し、併せて各プロバビリティーカーブからディシジョンポイントの値も算出しました。ディシジョンポイントは、食物経口負荷試験の陽性確率が95%の抗体価で、その抗体価以上であれば、ほぼ確定診断されるものです。プロバビリティーカーブを活用することで、リスクの高い負荷試験を避けることができるようになりました。

プロバビリティーカーブ
プロバビリティーカーブは「食物アレルギー診療の手引き2008」や「食物アレルギー経口負荷試験ガイドライン2009」にも記載されています。これはSampsonらのカーブとは異なり、卵白および牛乳でのカーブが1歳未満・1歳・2歳以上の年齢群に分けて解析されています。同じ抗体価であっても低年齢であるほど症状誘発の確立が高くなることがわかります。
また、吸入アレルゲンが原因アレルゲンとなっている場合についても同様に特異的IgE抗体価が高いほど、当該アレルゲンの暴露によって症状が発現するプロバビリティー(確率)が高くなることは以前から知られています。実際にネコ・イヌ・ヒョウヒダニ・イネ科花粉についてカーブが報告されており、吸入アレルゲンでは約10UA/mL以上であれば、ほぼ原因として同定できるとされています。

プロバビリティーカーブは統計学的な手法に基づいた確率論を示したものなので、同じ抗体価であっても個々の年齢やそれまでのアレルギー性疾患の経過、さらにはその時の体調などによって実際に症状が誘発されるかどうかは異なってきます。また、プロバビリティーカーブのデータはイムノキャップ(ファディア)に基づいています。それ以外の特異的IgE測定キットではプロバビリティーカーブは報告されていないので注意が必要です。

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このページは、が2013年5月25日 22:42に書いたブログ記事です。

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