肥満が喘息の発病・憎悪に関与

肥満者の割合は近年増加傾向にあり、アレルギー疾患のうちでも、特に 喘息 が肥満とのかかわりにおいて注目されています。「喘息予防・管理ガイドライン2009」にも、肥満が成人喘息の発病・憎悪の両方に関与する事が記載されています。
体重・体格指数(BMI)が高いほど喘息発病のリスクが高まることが、登録看護師(女性)を対象としたアメリカの免疫研究により1999年に明らかになりました。
血清総IgE値やアレルゲン感作が肥満により増強するとの報告は少なく、アレルギー性喘息と肥満の関連は強くないと考えられているのに対し、肥満は非アレルギー性喘息発症とよく相関し、とくに女性においてより顕著です。
すでに喘息を発病している患者では喘息憎悪に結びつきます。その背景には、呼吸生理学的な変化と、分子メカニズムの両者が関与すると考えられています。肥満の喘息患者が減量すると肺機能と喘息症状が改善し、とくに肺機能のうちピークフロー値の変動幅が減少します。

肥満は胸壁、腹壁や咽喉頭への脂肪蓄積を促し、機能的残気量の減少、1回換気量の減少をきたします。その結果、普段の呼吸において肺・気道の伸展が不十分となります。さらに吸入ステロイドの効果が肥満者で減弱することも知られています。成人に限らず、小児でも肥満は喘息の発病・憎悪に関連しており、肥満合併の影響でQOL低下が強まるとの報告もあります。
肥満にはアディポサイトカインと総称される、種々のサイトカイン・ケモカインがかかわっており、IL-6、TNF-α、eotaxin、MCP-1といった因子はアディポカインとしても、アレルギー性炎症の形成にも重要です。さらに脂肪組織由来のレプチンやアディポネクチンが喘息にも影響を及ぼし、レプチンは肥満で血中濃度が著増し炎症を増強します。
さらに肥満者では、睡眠時無呼吸症候群や胃食道逆流症を併発しやすいことも、喘息患者の呼吸状態に対して間接的に憎悪方向に作用すると考えられています。

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このページは、が2013年4月24日 23:11に書いたブログ記事です。

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