薬物アレルギー の発症機序とポイント

薬物アレルギー は、体が薬物を異物として認識し、感作が成立することが発症の前提となります。薬物は抗血清や血液製剤などを除けば、低分子であるため薬物自体が抗原とはなりえません。低分子の薬物が抗原性を獲得するには、分子量1万以上の蛋白と結合する必要があるため、蛋白と結合しやすい薬物ほど薬物アレルギーを起しやすいといえます。
この場合、蛋白がキャリアー(carrier)となり、医薬品がハプテン(hapten、不完全抗原または部分抗原ともいう)となります。このハプテンにより感作リンパ球が産生され、免疫が成立します。ハプテンとなった医薬品が再度投与されると、過剰な免疫反応が起こり、免疫複合体の形成や化学伝達物質の放出、あるいは細胞や組織に対する障害などの過敏症が発現します。

薬物アレルギーが疑われる時の10のポイント
1)薬物を投与された患者の限られた人にアレルギー反応が認められる
2)投与中の薬物による本来の薬理効果とは異なる症状が出現する
3)疾患と因果関係がないような症状がでる
4)疑わしい薬物、あるいはそれと交叉反応を示す薬物を少量投与すると出現する症状である
5)初回投与後、一定期間経過した後に再投与した際に症状がでる
6)薬物の投与を中止すると症状が消失する
7)末梢血や組織中の好酸球が増加する
8)感染症、悪性腫瘍、アレルギー疾患や自己免疫疾患などの既往歴や合併がある患者である
9)同一または類似の薬物で、過去に異常反応を起したことがある
10)文献上において、同一薬物による同様の症状が報告されている

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このページは、が2012年12月16日 23:22に書いたブログ記事です。

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