アレルギー疾患 に対する新たなアプローチ

新しい アレルギー の治療薬として注目すべきものは、ヒト化抗IgEモノクローナル抗体である オマリズマブ(ゾレア)です。遊離IgEのCε3部分と結合し、IgE抗体と細胞膜上に存在する高親和性受容体(FcεRI)の結合を阻害することで、マスト細胞などからの 炎症性メディエーター の放出を制御します。
現在のところわが国では、通年性の吸入アレルゲンに対して陽性を示す重症喘息の症例にしか本剤の使用は認められていません。注射剤であり、さらに薬価が高いというデメリットはありますが、その有効性や安全性は明らかにされています。
国際的にもその有効性が認められていて、GINA(the Global Iniriative for Asthma)ガイドラインでは、経口ステロイドより優先的な使用が奨励されています。投与後長期にわたって肺機能や喘息コントロールの安定、さらにアレルゲンに対する反応性低下を認めることから、いわゆる disease modifier としての一面を有する可能性が示唆されています。

アレルギー疾患 に対する新たな 免疫療法 として、舌下減感作療法 や ペプチド療法 が注目されています。
舌下減感作療法は、従来の皮下投与法と異なり、精製された液体アレルゲンを舌下投与する方法です。有効率も従来の皮下投与方法と比べても遜色ない7割程度と報告されています。2年間以上にわたる長期投与を要するという点では従来のものと変わりありませんが、通院の回数や注射による精神的な苦痛を減らすことができ、今後の普及が期待されています。
ペプチド免疫療法では、アレルゲン投与を行う従来の減感作療法と異なり、抗原提示細胞により貪食されて修飾された後の状態であるぺプチド断片を用います。ペプチド分子は、アレルゲンの3次元構造を認識するIgEに認識されにくく、高用量投与されてもいわゆるアナフィラキシ―反応が誘発されず、比較的安全に免疫寛容がもたらされます。今後アレルギー疾患に対して病態の本質を変えるような根本的な治療薬のさらなる開発が期待されます。

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このページは、が2012年12月10日 23:05に書いたブログ記事です。

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