花粉症患者が低年齢化していることは、鼻アレルギー診療のガイドラインにもあるように、スギ花粉有病率はほとんどの年齢層で増加しています。5〜9歳では7.5%から13.7%とほぼ倍増しています(1998年と2008年の比較)。スギ特異的IgE陽性率は、アレルギー疾患を持つ小児で乳幼児期の7.6%から幼児期後半には58.5%に急増し、学童以上では約60%であるとの報告もあります。非アレルギー児でも幼児期後半から徐々に陽性率が増加し、思春期には40%を超えることから、小児のスギ花粉感作の多くが就学前に成立する事がうかがえます。必ずしも特異IgE陽性がすべて花粉症ではありませんが、発症の可能性があるため注意が必要です。
小児の花粉症診断とその対策に重要なのは、保護者の観察です。
見逃しやすい小児の花粉症の症状・しぐさには
・咳や鼻づまりによるいびき
・鼻や目をこすることによる皮膚の赤みや鼻出血
・鼻をすする、目鼻をこする、まばたきが増える、口呼吸をしている
などがあります。
小児の花粉症は多くの場合、前年までの症状がはっきりしない、保護者の観察に頼らざるを得ない、検査も実施しにくいなどの理由から、診断や評価が難しい疾患です。2012年春のスギ花粉飛散量は、過去10年の飛散量から見ると例年並みですが、2011年の大量飛散により感作された子どもが新たに発症する可能性が高いといえます。