アスペルギルス(Aspergillus fumigatus)は、熱に強い真菌で世界的にも広く分布しています。増殖に適した温度域が幅広いので、生息環境は恒常的な高温域のみに限定されません。アスペルギルスは土壌中に広く分布しており、他の真菌アレルゲンと比べて、空気中の胞子の濃度は低とされています。冬でも堆肥にした植物の残渣や湿気を多く含んだ干し草や、ワラの山の内部で自己発熱が起こり、その結果多数の胞子が増殖して空気中に移行するので、局所的に胞子数が増えます。
アスペルギルスは12〜57℃、特に至適温度として37〜43℃の範囲で増殖能を有することが特徴です。分生胞子と菌子体を吸い込むと、宿主側の免疫反応により症状の強さは異なりますが、アレルギー性気管支喘息、菌塊を形成するアスペルギローマ、過敏性肺臓炎、浸潤性アスペルギルス症、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)等を発症します。
また、浸潤性アスペルギルス症の診断には血中のアスペルギルス抗原測定も用いられます。
この他、Farmer's Lung, Baker's Asthma, Malt Worker's Disease にも関連しています。またWallenbeckらによって重要なアレルゲン物質としてAg10とAg40とが同定されています。