大豆には、未加工・大豆粉に加工・圧搾して油にしたものがあります。大豆油は、様々な用途に用いられており、サラダ油やマーガリンに含まれています。大豆アレルギー患者の中には、(常温圧搾、連続圧搾または抽出されたものでない)大豆油や大豆レシチンは支障なく摂取できる人もいる一方、極端にひどい大豆アレルギー患者は大豆油や大豆レシチン内に微量に含まれる大豆タンパクに対しても反応することがあります。
大豆にはマメ科の他の植物と交差反応を示す数種類の抗原成分が含まれていることが判っています。複数の調査報告書により、エンドウマメ・レンズマメ・ピーナッツ・インゲンマメ・アオイマメ・シロインゲンマメなどに対する交差反応が確認されています。
大豆および大豆を原料に含む製品(味噌、豆腐、納豆、豆鼓など)は、アジアの食事の中で重要な役割を担っています。醤油は、大豆と小麦を発酵させた製品のひとつです。また、大豆油は、工業原料としても用いられており、合板製造業ではリノリウムおよび接着剤に含まれ、同産業においては職業アレルゲンのひとつと見られています。
大豆タンパクは、肉製品・パンおよび市販されているその他の食品多数に含まれています。しかも、大豆アレルギーの潜在的リスクを示す食品のリストは拡大を続けています。このリストの中には、大豆レシチンを含むソーセージ製品・ピザ・キャンディが含まれます。
大豆は、「古典的な食物アレルゲン」と見られており、小児のアレルギーの原因食品のひとつです。大豆に対するアレルギー反応においては、胃や皮膚の疾患が優勢ですが、呼吸器症状および重篤なアレルギー反応をおこすこともあるので注意が必要です。
牛乳アレルギーを持つ乳児向けの代用品としての豆乳(大豆調乳)の利用に関しては議論が続いています。国によっては、スクリーニングの結果、大豆アレルギーがないと示された場合、豆乳を安全な代用品として推奨しています。しかし、牛乳に敏感な患者の約5分の1は、大豆タンパク・アレルギーになると報告もあるので、豆乳より、母乳またはアレルギー誘発性の低い調乳を優先するよう推奨しています。
様々な食品の成分としての利用が拡大する中、大豆は重篤なアレルギー反応の原因として過小評価されている可能性があります。