IgEファディアトープ(特異的吸入性アレルゲン)

ファディアトープはアトピー鑑別試験ともいわれ、吸入抗原に感作されているかをスクリーニングする検査です。花粉症に代表されるアレルギー患者は、年々増加していますが、原因となる吸入物質には、春先のスギ、ヒノキ、これに引き続いて現れる各種雑草、イネ科の花粉に加え、一年中みられるハウスダスト、ダニや、イヌやネコをはじめとするペットのフケ、真菌など、アレルゲンの種類は豊富であり、季節や地域、患者の年齢で差異が認められます。
診断には、吸入アレルゲンに感作されているかを知る必要がありますが、アレルゲンの項目数は多岐に渡るため、特異的IgEでは適切な選択が難しい場合もあります。そこでこれらを一括し、まず吸入抗原に感作されているかをスクリーニングする検査がIgEファディアトープです。

IgEファディアトープには、1つの測定キットに12種類の代表的な吸入系アレルゲンが固相されており、1回のアッセイでこれらに対する感作状況を知ることができます。すなわち、いずれかの抗原に感作されていれば、IgEファディアトープは陽性となります。ただし陽性の場合、12種類のアレルゲンのどれに感作されているかを特定することは出来ないので別途、特異的IgEを検査する必要があります。

IgEファディアトープは非特異的IgEと比較することで診断効率が上昇します。

IgE(↑)ファディアトープ(+) →明らかなアトピー性疾患の疑い
IgE(↑)ファディアトープ(−) →食物性(職業性)アレルギーの疑い 
IgE(↓〜 →)ファディアトープ(+) →吸入性アレルギー疾患の疑い
IgE(↓〜 →)ファディアトープ(−)→非アトピー性又は現時点でI型アレルギー体質の可能性は小さい

※ファディアトープに含まれている抗原は次の12種類です。
ヤケヒョウヒダニ、コナヒョウヒダニ、ネコフケ、イヌフケ、ギョウギシバ、カモガヤ、ブタクサ、ヨモギ、シラカンバ、スギ、カンジダ、アルテルナリア

陽性を示す病態:[即時型過敏症の関与するアレルギー性疾患]
 花粉症、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎、気管支喘息など

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このページは、が2008年5月 2日 00:08に書いたブログ記事です。

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